研究実績の概要 |
本研究ではIoT機器などのリソースが制限されているデバイス上でも安全に動作する軽量共通鍵暗号の設計と、その安全性評価に関する研究を行った。 暗号設計に関する主な成果としては、(1)実装回路規模が世界最小の128ビットブロック暗号WARPの開発、(2)世界最小の暗号化遅延速度を有する128ビット疑似ランダム置換Orthros、(3)世界初の6G向け超高速認証暗号Roccaの設計、などがあげられる。(1), (3)については成果をまとめた論文が共通鍵暗号の分野においてトップジャーナルであるIACR Transactions on Symmetric Cryptologyに採録された。また、(2)については成果をまとめた論文が分野の重要学会であるSAC 2020に採録された。これらの提案した暗号については現在も他の暗号研究者・グループによって安全性解析が進められ、安全性が確認されている。共通鍵暗号の安全性評価に関する主な成果としては、(1)充足可能性問題(SAT)に基づいた複数の疑似ランダム置換から構成される疑似ランダム関数についての効率的な安全性評価手法の提案、(2)低遅延アプリケーション向けブロック暗号PRINCEとTweakableブロック暗号QARMAについてのSATに基づいた差分攻撃に対する安全性解析、などがあげられる。(1)については成果をまとめた論文が暗号分野における重要学会であるCT-RSA 2023に採録された。(2)については成果をまとめた論文をSAC 2023に投稿中である。今後は安全性評価の研究の過程で得た知見を活かし、より軽量な暗号の設計を行っていく予定である。特に、Tweakable暗号については従来手法よりも効率的な安全性評価手法を開発したため、この知見を用いてより効率的なTweakable暗号の設計を行う予定である。
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