本研究の目的は粘性物体に触れた際の粘着感を主観的評価及び定量的計測の観点から計測し、これらの情報を元に感覚再現装置を開発することである。 本年度は昨年度発見した粘着感知覚において重要な皮膚表面へ生じる力分布とそれにより変形する皮膚形状から粘着感知覚を担う触覚受容器へ加わるエネルギーの解析結果を学会誌への投稿を行った。我々の従来の研究により粘着面接触時における皮膚に加わる圧力分布を計測することができたが、物理的な皮膚への力提示と主観的な粘着感知覚の関係を明らかにするためには物理現象である力分布を感覚知覚に変換する触覚受容器との関係を明らかにすることが有効である。そこで本年度は有限要素法(FEM)を用いた構造解析により皮膚内の触覚受容器へ加わるひずみエネルギーのシミュレーションと主観評価による触覚強度との関係を調査した。その結果、一定以上のひずみエネルギーが触覚知覚に影響を与えていることからひずみエネルギーの分布と総量から触覚知覚強度の違いを見出すことが示唆された。
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