本年度は,確率モデルに基づく高性能なBlack-Box連続最適化法であるCovariance Matrix Adaptation Evolution Strategy (CMA-ES)に対する以下のアルゴリズム改良を行った. (1)目的関数の単調増加変換にロバストなサロゲートモデルを用いた(1+1)-CMA-ESの提案 CMA-ESは目的関数の単調増加変換などの変換により最適化性能が変化しないという性質をもつ.このような性質は不変性と呼ばれ,問題ごとのハイパーパラメータ調整の手間の低減などの利点につながる.本研究では目的関数の単調増加変換に対する不変性をもつ利得関数を導入し,利得関数値を利用してサロゲートモデルを学習することで目的関数の単調増加変換にロバストな手法を開発した.提案手法は目的関数の推定が困難な問題において既存手法より効率的な最適化を実現する.本内容は進化計算の国際会議であるEvoApplications 2023で発表を行った. (2)混合整数最適化のためのマージン補正付き(1+1)-CMA-ESの提案 混合整数最適化問題は多くの実問題に現れるため,効率的な混合整数最適化法の開発が求められている.本研究では混合整数最適化法であるCMA-ES with marginに対してエリート保存戦略を導入した手法である(1+1)-CMA-ES with marginを開発した.提案手法は単峰性の混合整数最適化問題だけでなく,単峰性の整数変数最適化問題やバイナリ最適化問題においても効率的な最適化を実現する.本内容は進化計算のトップ国際会議であるGenetic and Evolutionary Computation Conference (GECCO) 2023への採択が決定されている.
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