研究課題
本申請では、脂質代謝を制御する核内受容体ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体 (PPARs)およびレチノイドX受容体 (RXRα)を標的に、これらのアゴニストの分子機序解明、これらに結合する新規食品由来化合物の探索から、食品による健康維持、未病の予防を目指してきた。令和4年度は、PPARγ-LBD/RXRα-LBDヘテロダイマー(以下、PPARγ/RXRα)を対象としたスクリーニング系を用い、食品由来RXRαリガンドの探索が可能か検討した。[結果・考察]8種類の食品由来化合物のPPARγ/RXRαに対する結合親和性(IC50値)ついて、蛍光性RXRαアゴニストCU-6PMNを用いたスクリーニング系にて評価した。結果、既知RXRαアゴニストであるDHA、また、DHAと同じくn-3系脂肪酸であるEPAについてIC50値算出に成功した(文献1)。Ginsenoside Rg3、α-mangostinについてはIC50値の算出はできなかったものの、化合物濃度依存的な蛍光強度の上昇が確認され、PPARγ/RXRαに結合する可能性が示された。中でもα-mangostinはRXRα-LBDに対する結合性に関し報告がないことから、本スクリーニング系は食品由来新規RXRαリガンドの探索に利用できる可能性が示された。[本研究の意義]本研究では、これまで報告のなかった“PPARγ/RXRαヘテロダイマーを対象としたスクリーニング系の構築”に成功し、“食品由来化合物の親和性評価が可能である”ことを示した。この結果は、本申請の目標「食品による健康維持や未病の予防」の達成に重要な一歩であると考える。文献1: Kawasaki, M. et al., ACS Med. Chem. Lett., 14, 291-296 (2023).
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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ACS Med. Chem. Lett
巻: 14 ページ: 291-296
10.1021/acsmedchemlett.2c00509