研究課題/領域番号 |
20J23805
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩崎 崇雅 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | パミール諸語 / ルシャン語 / アラインメント |
研究実績の概要 |
今年度も引き続き新型コロナウィルスの世界的流行の影響で2021年度に予定していたフィールドワークによる言語資料の収集が困難となった。 2021年度に実施した事項は、(i) 古代・中期イラン語の文献の整理と分析 (ii)ルシャン語をはじめとする現代東イラン語の資料の整理と分析である。(i) に関しては2020年度に引き続き、まとまった量の資料を有するイラン語派の中で最も古いイラン語派であるアヴェスタ語で書かれた文献(アヴェスタ)を分析している。また、中期イラン語に属するいくつかの言語(ソグド語、コータン語、バクトリア語)に関しても、ドイツ・フランクフルト大のコーパスTITUS を用い、格配列のパタンの特徴を調査している。進度は当初予定していたよりも遅れているものの、一定の進捗をみた。(ii)に関しては、格配列パタンを決定するに当たって必須となる直接目的語の標示方法について整理を行った。前年度と同様にインターネットを用いてルシャン語母語話者に対し、ルシャン語のもつ、直接目的語の異なる標示法の出現環境について聞き取り調査を行った。単純な文章の容認性判断が大半であったが、ある程度の新規に収集したデータと二次資料のテクスト分析から得た初歩的な研究を行い、発展させたものを論文として投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的大流行に伴いタジキスタン、及び予備調査地として予定していたロシアへの渡航が困難となった。本研究は専ら現地調査で得られる資料を元になされるものであるため、現地調査による言語資料の収集が不可能となったことは研究の進展に多大な遅滞をもたらすこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はある程度渡航の自由が得られると予想されるが、新たな懸念として、調査地域の情勢急変、及びロシアによるウクライナ侵攻に伴う各国の経済制裁の影響が浮上してきており、フィールドワークの遂行が困難になる可能性が大いにある。そのため、前年度から引き続きオンライン形式での調査も念頭に入れている。ただし、この形式には直接研究者が行うオンライン形式の聴き取り調査ではテクストや自然談話を収集しづらい等の欠点があり、これを解消するため、現地に録音機材を送り、録音依頼することも検討している。
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