研究課題
本年度は脳動脈瘤の破裂前後における形態学的変化の調査について研究を実施した.経過観察中に破裂した脳動脈瘤のうち,破裂前後で血管造影検査を実施した計21症例の破裂前後における三次元形状をそれぞれ再構成して形態学的パラメータを算出した.これらパラメータの破裂前後における変化について統計学的に比較した結果,脳動脈瘤の高さ,体積,AR(Aspect Ratio),UI(Undulation Index)が破裂後に統計学的に有意に増加していた.いずれも破裂後に増加しており,破裂によって脳動脈瘤は縦長で大きく,複雑な形状へ変化していた.先行研究では,脳動脈瘤は破裂によって形状が変化しない,あるいは小さくなると議論されることもあったが,調査対象となる症例数が少なかったり,2次元画像をもとにした測定値より議論をしているものがほとんどであった.特に,未破裂脳動脈瘤に対する破裂リスク予測モデルを構築する研究では,破裂後に取得したデータを破裂症例と定義して未破裂症例と比較し,予測モデルを構築している研究がほとんどである.これは,破裂前後において脳動脈瘤の形態が変化しないと仮定して実施されてきたものであるが,本研究結果はこのような仮定が適切なものでない可能性を示している.脳動脈瘤の破裂予測を行う上では,本研究で実施してきたように,破裂前に取得したデータをもとに予測モデルを構築すべきであると示唆される点で重要な結果である.本年度は以上の研究結果を始めとして,国際学術雑誌に現在投稿中である.また,学会発表として国内学会にて13件(内,プレナリーシンポジウムでの講演1件),国際学会にて11件(内,招待講演1件)の研究報告を行った(共著含).その他,脳動脈瘤の診断における数値流体力学解析の活用方法に関する書籍記事を執筆するなど,学術的に高く評価される成果を上げた.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.rs.kagu.tus.ac.jp/yamamoto/indexj.html
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