本年度もコロナウイルス感染症の影響で海外でのフィールドワークができなかったため、当初の予定を変更し、国内でインターネットを利用した情報収集や、文献研究を進めた。具体的には、コロナ関連のデータを更新し、都市底辺層の人々に関する理論的枠組みの再検討を行った。また、英語での成果報告にむけて理論的補強をするため、ロバート・マートンの『社会理論と社会構造』(みすず書房)の日本語訳の再検討および英訳作業を進めた。同時に、本テーマに関するこれまでの日本語論文の英訳作業を行った。これらの作業を通じて、過去の調査研究を改めて見直すことが可能となった。しかし、今年度は英訳作業のほか、過去に執筆した日本語論文の翻訳作業などを進めたため、ジャーナルや学会報告などでの学術的な成果を出すことはできなかった。 本年度後半には、日本国内のフィリピン人労働者を対象に、小売り販売をしている日系フィリピン人にインタビューを行うことができた。彼女らもまた、日本の都市底辺層の生活を支える物売りであり、これらのインタビューでは、今後、フィリピンと日本の都市底辺層の仕事と生活の考察をするための貴重な情報が得られた。本年度も、当初の予定から大幅に予定を変更をすることとなったが、本研究の理論的補填や英語での成果報告に向けた準備を進めることができた。
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