研究課題
乾癬は、慢性炎症性皮膚疾患で、樹状細胞が産生するIL-23によってIL-17産生細胞が活性化されている。しかしながら、乾癬におけるIL-23-IL-17軸を調節するメカニズムは完全には理解されていない。免疫受容体CD96は、乾癬に強く関与している皮膚のγδT細胞に発現しているが、機能はいまだ不明である。申請者は、CD96が、皮膚のγδT細胞の活性化を制御する事で乾癬の病態を調節する可能性を考え、野生型マウスとCD96欠損マウスの背部にIMQを連続塗布し、乾癬を誘導した。CD96欠損マウスでは、皮膚のγδT細胞からのIL-17産生量が野生型マウスと比較して低く、乾癬病態が抑制された。さらに、野生型、またはCD96欠損γδT細胞をRag1欠損マウスの皮膚に移入し、乾癬を誘導すると、CD96欠損γδT細胞を移入したマウスの病態が軽度であった。また、in vitroの実験系において野生型マウスの皮膚から単離したγδT細胞をCD3抗体と共にCD96抗体で刺激すると、IL-23刺激によるIL-17の産生量が増加した。ヒトの末梢血から単離したγδT細胞についても、同様の結果が得られた。これらの結果からヒト、マウスγδT細胞上のCD96は活性化受容体として機能し、乾癬病態を増悪している事が明らかになった。この事は、γδT細胞上のCD96が乾癬治療の標的となりうる可能性を示唆するものである。これを明らかにするため、研究代表者は中和能が高いCD96に対する中和抗体を作成し、乾癬病態の解析を行った。CD96中和抗体を投与する事で、γδT細胞からのIL-17産生が抑制され、乾癬病態が抑制される事を示した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
The Journal of Immunology
巻: 209 (12) ページ: 2313-2321
10.4049/jimmunol.2200502.
http://immuno-tsukuba.com