本研究では、肝細胞のHBV感染における星細胞の関与について明らかにする。感染モデルとして、当研究室で分化誘導法を樹立したiPS細胞由来静止期星細胞と肝細胞との共培養系を用いる。構築したモデルを用いて肝疾患に対する新規治療標的や治療薬候補の同定することも目的とする。 当該年度においては三次元培養に適した肝細胞とその培養系を同定した。肝細胞の種類により適切な培養器を用いても球形の三次元構造をとらない細胞種があり、本研究には三次元構造をとることの出来るHuH-7-NTCP細胞とiPS細胞由来肝細胞を用いることとした。細胞を播種後3日で球形の共培養系ができることがわかった。同じ細胞数の肝細胞に対して様々な割合のiPS細胞由来肝星細胞を共培養したところ、星細胞の細胞数依存的にHBVの複製レベルの指標とした培養上清中のHBs抗原量が増加した。このことからHSCはHBVの複製を亢進することがわかった。共培養には静止期星細胞を用いたが、同じ条件で活性化星細胞を用いた場合はHBV複製を亢進しなかった。
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