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2020 年度 実施状況報告書

自由の一人称的経験を探る:認知哲学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 20K00002
研究機関新潟大学

研究代表者

太田 紘史  新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (80726802)

研究分担者 飯島 和樹  玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (60743680)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード自由意志 / 道徳的責任 / 意識 / 認知哲学 / 実験哲学
研究実績の概要

当該年度は、まず自由意志の現象的性格の観点からリベット型実験の哲学的意義に関する論争を再評価するための検討を行った。この検討では、決定論と自由意志の両立可能性をめぐる論争において源泉性と呼ばれてきたものに注目し、源泉性の現象的性格に照らした行為者経験の(非)真正性に関してリベット型実験が含意を持つことを明確化した。哲学者らにおいては、リベット型実験は自由意志について重大な含意を持たないとする見方が支配的であるが、こうした見方を支持する諸議論についても上記の論点に基づいた批判的な検討を行った。以上の成果は、国際的な学術誌において査読論文として発表された。
また、最近の自由意志に関する実験哲学研究から得られている基本的知見について文献調査を行い、その成果を邦語書籍のブックチャプターとして発表した。ここでは自由意志論争における実験哲学の哲学的意義について簡単な検討を行ったが、この点について詳細な検討を引き続き行った。とりわけ、自由意志に関する人々の認識の心理学的記述が、自由意志と決定論の両立可能性に関する含意をいかにして持ちうるのかについての方法論的な検討を行い、その成果となる論文を作成して国際的な学術誌に投稿し、これはすでにアクセプトされている。
以上の理論的検討に並行して、人々がどのような現象的性格の自由意志を経験しているのかを調べるために、意思決定における主観的報告を測定する実験研究を進めた。とりわけ、先述の源泉性の現象的性格を含む行為者経験に関する主観的報告を収集したところ、そうした報告が自由意志に関する信念と相互作用している可能性が示唆されたため、現在その詳細な分析を進めている段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

理論的研究について論文発表等の形で成果を得られていることに加えて、行為者経験の主観的報告に関する実験研究を当初の予定よりも早く進めることができたため。

今後の研究の推進方策

実験研究で得られたデータについて詳細な分析を進め、その成果をまずは学会発表等の形で公表する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度において一部の研究資料の入手に時間を要したため、次年度中にこれと同じ目的で使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Neuroscientific threat to free will as non-veridicality of agentive experience2020

    • 著者名/発表者名
      Koji Ota
    • 雑誌名

      Journal of Mind and Behavior

      巻: 41(2) ページ: 109-130

    • 査読あり
  • [図書] 実験哲学入門2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木 貴之
    • 総ページ数
      216
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      9784326102822
  • [図書] ユーモア解体新書2020

    • 著者名/発表者名
      佐金 武、佐伯 大輔、高梨 友宏
    • 総ページ数
      290
    • 出版者
      清文堂出版
    • ISBN
      9784792414788

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公開日: 2021-12-27  

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