研究課題/領域番号 |
20K00008
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
石井 一也 香川大学, 法学部, 教授 (70294741)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ガンディー / ライ / サティー / 幼児婚 / 人新世 / 手紡ぎ |
研究実績の概要 |
2021年度は、ガンディーのジェンダー論を探求する前提として、植民地インドにおける女性の抑圧的状況と女性解放運動の先駆者としてのラムモホン・ライの著作を分析した。ネマイ・サダン・ボースによれば、上流階級のあいだで一夫多妻制、幼児婚、サティー(寡婦殉死)、女児殺し、第一子を聖なる河に投入するなどの行為が広く行われ、女性たちがその被害を受けていた。ライは、こうした状況に直面して、これらの慣習は、けっして宗教的に規定されたものではないことを強く主張し、インド総督ウィリアム・ベンティンクに直訴する。総督は、これを受けて寡婦殉死を禁止する法令を1829年に公布することになる。ライは、寡婦再婚を勧め、偶像崇拝を否定したが、これらの点は、自己抑制の観点から寡婦の生き方を尊重し、民衆による偶像崇拝を是認したガンディーとは、大きく異なっている。 こうした知見をえながら、ガンディーに関連する研究成果としては、エコロジカル・フェミニズムの観点から「人新世におけるSDGs」、「人新世におけるガンディー経済論:手紡ぎを中心として」などのテーマで、研究報告、講演、論文執筆を行った。5月には日本平和学会において、10月にはインド大使館主催のガンディー生誕祭において、また10月には香川大学とEuropean Japan Expert Associationによる国際会議にて報告した。また、論文は、3月に香川大学インターナショナルオフィスの紀要に掲載され、6月には日本平和学会の『平和研究』第58号に掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
出張が制限されていることにも影響されて、進捗状況は、若干遅れ気味である。今年度1年をかけて、できるだけペースを取り戻したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
植民地インドにおける女性の抑圧状況を踏まえて、女性解放運動におけるライとは異なるガンディー独自のアプローチを明らかにしたい。その際に、エコロジカル・フェミニズムとの関連性を念頭において、その作業を進めてゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張、とりわけ海外出張が禁止されてきた中で、旅費の消化がほとんどできない状態が続いている。交付金額の大半を次年度に持ち越すことにより、研究の遅れを取り戻し、これを前進させてゆきたいと考えている。
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