研究課題/領域番号 |
20K00009
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
佐藤 慶太 香川大学, 大学教育基盤センター, 教授 (40571427)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カント / 理性 / 18世紀ドイツ哲学 / 超越論的方法論 / 哲学 / 永遠平和のために / 理性の制度化 / 歴史哲学 |
研究実績の概要 |
本研究は、(1)新カント派による哲学史像の成立背景と限界の解明、(2)18世紀ドイツ認識論史の再構築、(3)18世紀ドイツにおける「理性」概念の再検討、の三つの部分からなる。2023年度は(1),(2),(3)すべてに関わる研究を行った。 (1)(2)について。2022年度の研究成果を踏まえて、『ドイツ哲学入門』(共編著、ミネルヴァ書房、2024年刊行予定)において、17世紀・18世紀のセクションの項目選定・総論の執筆を担当した。ここで「経験主義VS合理主義」という枠組みを使わずに17世紀・18世紀ドイツ哲学を概観する方向性を提示した。具体的には、当時の自然学の躍進を前提として生じた「経験と原理(理性)をどう関係づけるか」という問いを軸に、様々な哲学的立場を整理する、というものである。 (3)について。2023年度の研究を踏まえて、『純粋理性批判』「超越論的方法論」(以下「方法論」)および『永遠平和のために』の読解を行った。前者では、2023年度の研究成果を踏まえて、方法論全体の体系性を明らかにした。この成果は、2024年度9月に開催される14th Internatonal Kant Congressにて発表される予定である。後者においては、『永遠平和のために』の第一補論に着目し、カントの倫理学と歴史像との必然的な関係性を明らかにした。この考察において本研究代表者は、カントが永遠平和のための制度設計を「理性」との関係で論じている点を指摘した。このことは「理性の制度化」がキーワードとなっている現代の議論との接点となると思われる(cf. Joseph Heath, Enlightenment 2.0)。この研究成果の一部を、キヤノングローバル戦略研究所・フューチャー・デザイン・ワークショップにて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)新カント派による哲学史像の成立背景と限界の解明、(2)18世紀ドイツ認識論史の再構築、(3)18世紀ドイツにおける「理性」概念の再検討、の三つに区分される。 (1)(2)については、18世紀ドイツ哲学の展開をよりきめ細やかに読み解くための視座と、成果公表についての見通しを得ている。(2)に関しては、コロナ感染予防対策の影響があり、当初予定していた海外での資料収集が実施できなかったが、この予算を海外での成果発表に用いるという方針転換を行うこととし予定も立てられた。(3)については、「理性と論争」、「理性と制度」という研究の足掛かりとなるテーマを得ている。 以上を踏まえて「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染予防対策の影響があり、当初予定していた海外での資料収集が実施できなかったが、この予算を海外での成果発表に用いるという方針転換を行うこととし、すでに2024年度の予定も立てている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染予防対策の影響があり、当初予定していた海外での資料収集が実施できなかった。この予算を、2024年度において海外での成果発表に用いることとした。
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