本研究の目的は、インフォーマルな慣習からフォーマルな法規範までを含む「制度」(institution)の概念を、現代形而上学の一分野である「社会存在論」の観点から再構築することであった。主要な研究成果は、制度の「均衡説」に「ルール説」を従属させる仕方で統一的制度理論を作ろうとするF. グアラ(合理的選択論者)たちの近年の取り組みが孕む困難を指摘したうえで、「ルール説」の中に「均衡説」を位置づける枠組みを提案し、それを2022年8月にウィーン大学で開催された国際社会存在論協会の大会で発表したことである。また、制度体(組織)の行為やその責任に関する論文を公表したことも成果の一つである。
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