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2022 年度 実施状況報告書

反応依存性理論を用いたカント的実在論の展開

研究課題

研究課題/領域番号 20K00017
研究機関早稲田大学

研究代表者

千葉 清史  早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (60646090)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードカント / 形而上学 / 認識論 / 超越論的観念論 / 実在論 / 反応依存性 / 国際共同研究
研究実績の概要

2022年度は、まず、Johnston型とPettit型の「反応依存性」概念について、それらがそれぞれどのような意味における「実在論」を実現しうるのか、という点の考察を進め、次のような結論を得た:Pettit型は、反応依存的概念の指示対象(である性質)についての「本質主義essentialism」と呼びうるような強い意味での実在論を実現する可能性をもつ。それに対し、Johnston型は、可能だとしてもきわめて弱い実在論 ―― 例えば、(メタ倫理学における非認知主義に対して)《反応依存的概念を用いた文は真/偽たり得る》ということを認める程度の実在論 ―― を実現するにとどまる。
すると問題は、Johnston型に実質的に一致することになる反応依存性概念に依拠するTobias Rosefeldtのカント「超越論的観念論」解釈が、Rosefeldtが望むような意味で実在論的含意を持ち得るか、ということになる。2022年度の考察の限りでは、この問いには否定的に答えられざるを得ない、との結論が一応導かれた。―― すると、本研究が目指す「カント的実在論」のためには、Pettit型の「反応依存性」概念を用いるLucy Allaisの解釈の方がふさわしい、ということになる。
この研究に続き、Allaisによる「超越論的観念論」解釈に基づく「カント的実在論」が、特に知覚的認識についての懐疑論に対してどの程度の効力を持つかの考察に移行した。そのための準備として、Donald Davidsonによる、彼独自の意味理論に基づく反-懐疑論的議論の検討に着手した。この考察は2023年度に引き継がれることになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「反応依存性」をめぐる今日の議論の検討に予想外の時間がかかる結果となった。また、コロナ禍において、国内外の研究者を招聘しての研究会・シンポジウムを実施することもできなかった。

今後の研究の推進方策

2023年度には、まず前年度に引き続き、Donald Davidsonの反-懐疑論的議論を反応依存性理論として再解釈する作業を進める。その際、Nathan Goldbergの研究が重要な示唆を与えることだろう。その上で、こうして再解釈された反応依存性理論と、先に確定された(Allaisの超越論的観念論解釈に依拠する)「カント的実在論」の接合を試みる。これによって、「カント的実在論」は、反-懐疑論的立場としてさらに強化されることが期待される。
また、2023年度は、今まで実施できなかった、国内外の研究者を招聘した対面形式での公開研究会を数回行うことを予定している。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナパンデミックにより、海外で行なわれる国際学会・研究会への参加、ならびに、国内外の研究者を招聘した研究会が実施できなかったことによる。
使用計画:関連文献の収集を継続するとともに、国際学会への参加、ならびに招聘研究者による研究会を実施する。

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公開日: 2023-12-25  

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