研究課題
基盤研究(C)
本研究では、当研究者が長年にわたって追究してきた現代的な形での実体主義的形而上学を実在論的観点のもとで体系化し、真理論の側面から補強することを目標として、真理値空隙を許容する「部分的真理」に基づく対応説的真理論を構築することを試みた。その結果、真理付与理論を中心とした最近の対応説的真理論の流れに与しながら、部分論理の活用や真理受容者の再検討などによって、存在論的部分性に適切に対処できるような対応説的真理論の基礎を構築した。
哲学
実在論的な真理論として最も標準的なのは対応説的真理論であるが、対応説は通常、真理値空隙を許さない強い意味での二値原理を暗黙の前提としている。これに対して、本研究では、真理値空隙を許す弱い意味での二値原理のもとでも対応説的真理論を展開できることを示した。また、それによって、力能性や生成的可能性などの実体的対象の存在性格に由来するいくつかの存在論的部分性に即した形での対応説的真理論の基礎を構築することができた。