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2023 年度 実施状況報告書

パーリ語世界の形成にかんする思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00049
研究機関東京大学

研究代表者

馬場 紀寿  東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (40431829)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード転法輪経
研究実績の概要

2023年度前半には、パーリ語世界の形成にかんする研究を進める過程で、パーリ語世界でもっとも重視された経典の一つ、『転法輪経』の成立にかんする研究成果を挙げた。本経は、上座部大寺派の『律蔵』『相応部』、化地部の『五分律』、法蔵部の『四分律』、説一切有部の『雑阿含経』『四衆経』『十誦律』『根本説一切有部律』、大衆部の『大事』に収録されるため、これら諸部派でほぼ同じ内容が共有されていたことが分かるが、アショーカ王(在位前二六八頃ー前二三二頃)のサールナート石柱を検討するなら、『転法輪経』の内容を前提としていることが判明する。したがって、前三世紀中頃までに、鹿野園でブッダが四聖諦の知という法輪を転じたことを説く『転法輪経』の原形が成立したことを明らかにした。本研究成果「『転法輪経』とアショーカ王」を『東方学』第46輯で発表した。
2023年度後半には、本科研費での研究成果を英語で行った。2023年10月4日には、ハーヴァード大学のBuddhist Studies Forumで招待講演を行った。また、同年11月10日には、ナポリ東洋大学で講演を行い、同年12月7日にはヘンリールース財団助成研究プロジェクト"Chinese Buddhism in Globalization"でのオンライン招待講演を行った。2024年1月27日には北京大学でのオンライン招待講演を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

パーリ世界の形成を研究するに当たり、当初まったく想定していなかった成果を挙げて、東洋学で最も厳しい査読誌である『東方学』に論文を発表できた。また、海外の大学で講演する際に、各大学の研究者と交流して、新たな知見や研究動向を知ることができた。

今後の研究の推進方策

『転法輪経』の研究を通して、考古資料が文献研究に重要な情報をもたらすことが分かり、今後の研究の指針となった。欧米では、グレゴリー・ショペン以降、伝世資料によって仏典の形成史を論じるという研究方法そのものに対して懐疑的な見解を表明する文献学者が増えているため、今後、考古資料を用いた研究が重要になると考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 『転法輪経』とアショーカ王2023

    • 著者名/発表者名
      馬場紀寿
    • 雑誌名

      東方学

      巻: 146 ページ: 67-49

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公開日: 2024-12-25  

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