伝統的な経学の枠組みにおいては、経書中の礼に関する各種の記載の背後に統一的な礼の体系が存在するとされ、この仮定のもとにその解釈が積み上げられてきた。本研究は、これらの記載が歴史的に形成されてきた過程を明らかにすることにより、伝統的な経学を創造的に解体し、これらの記載に対してより合理的な解釈を与えるとともに、その背後にある礼学および礼思想の展開を思想史的に語る道筋を付けることに成功した。ここに本研究成果の学術的意義がある。また、経書を伝統的な経学の枠組みから解放して社会に還元した点に、本研究の社会的意義がある。
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