研究課題/領域番号 |
20K00054
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉木 恒彦 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (40422349)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サーダナニディ / タントラ / 後期密教 / サンヴァラ / ダーカールナヴァ / アビダーノーッタラ / ヨーギニー |
研究実績の概要 |
本研究課題は、カンバラ作『成就法の大海』におけるヨーギニーに関連する複数の章の梵語校訂テキストと英語訳注を作成し、その他の関連資料とともにインド仏教(密教)におけるヨーギニー観を検討することである。本年度は、研究代表者(単独)として、『成就法の大海』のそれの章の校訂・訳注作業を進めると同時に、関連文献である『アビダーノーッタラ・タントラ』と『ダーカールナヴァ・タントラ』のいくつかのヨーギニー関連の章の梵語校訂テキストと英語訳注の作成と精緻化を進めた。 2022年3月にホストとして、研究協力者とその他関心のある学会関係者の方々とともに、ZOOMを用いたオンライン研究会を開催した。そこにおいて、上述の梵語校訂テキストと英語訳注を研究協力者の方々等に検討して頂き、意見交換を行った。 また、上述の研究成果の発表(公開)として、主として以下の3つを本年度遂行した。まず、上述『成就法の大海』と『アビダーノーッタラ・タントラ』の該当章を主題材として英語論文を執筆し、International Journal of Buddhist Thought & Culturteへ投稿し、査読を通過し、刊行された。また、それら2文献とともに、『ダーカールナヴァ・タントラ』の該当章を主題材とした英語論文を書き上げ、英文校閲を完了させた。その投稿・刊行は2022年度に行う予定である。加えて、本研究課題の遂行過程で得ることのできた知見を一部用いて、Oxford Handbookシリーズ(Oxford Handbook of Tantric Studies)に収録する原稿として依頼されたインド密教経典史に関する英語論文を書き上げ、査読を通過し、著者校正の段階まで進んだ。刊行は2022年度になる。いずれの論文もこれまで学会で十分にとりあげられてこなかったテーマを扱ったものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主題材である『成就法の大海』のテキスト校訂と英語訳注作成作業と内容分析のペースは決して悪くない。しかし、コロナ過により海外への資料収集を今年度も行うことができなかったため、調査に不足が生じる面もあった。そのため、「やや遅れている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
海外渡航規制の状況にもよるが、2022年度は、これまでできなかった海外各書の資料館等(インド・ネパール、ドイツのうち、渡航できる国)への訪問を行い、充実した資料収集を行う予定である。また、2022年度は主題材である『成就法の大海』の該当章のうち、校訂テキストと英語訳注作成が完成したいくつかの章を、公開性のある学術雑誌において英語論文として刊行させることを目指す。そのため、とりわけ海外旅費と英文校閲費用に研究費の多くを使用することになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度と2021年度に計画していた合計6回の海外出張がいずれもコロナ過により中止となったため、それらの旅費が未使用になっているのが理由である。おそらく状況が改善する2022年度以降に、資料収集を主目的として海外出張を可能な範囲で行い、それらを使用していく予定である。
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