研究課題/領域番号 |
20K00060
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
舘 隆志 駒澤大学, 仏教学部, 講師 (70771509)
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研究分担者 |
吉村 誠 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (60298106)
師 茂樹 花園大学, 文学部, 教授 (70351294)
山口 弘江 駒澤大学, 仏教学部, 准教授 (20599394)
柳 幹康 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (10779284)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 達磨宗 / 仏地房覚晏 / 心根決疑章 / 日本禅宗史 / 大日房能忍 / 禅思想 / 曹洞宗 / 臨済宗 |
研究実績の概要 |
本研究は、達磨宗新出史料『心根決疑章』の読解を中心とする研究である。本年度の成果は以下の通りである。 本来、東京・駒澤大学と、京都・花園大学で、それぞれ『心根決疑章』読解の勉強会を行い、研究を行っていく予定であったが、コロナ禍の状況を踏まえてオンラインでの勉強会を継続した。2021年6月11日、2021年7月23日、2021年9月10日、2021年10月2日、2022年2月25日にオンライン(zoom)で、研究代表者の舘隆志と、吉村誠、師茂樹、山口弘江、柳幹康の5人で研究会を開催し、予定通り計5回の研究会を行うことができた。この成果は、2022年度中に、駒澤大学学術情報リポジトリに登録予定の論文として発表する予定である。 また、前年の読解を踏まえた成果として、舘隆志, 吉村誠, 師茂樹, 山口弘江, 柳幹康「達磨宗・仏地房覚晏『心根決疑章』訓註(上)」『駒澤大学仏教学部論集』52(127-156 2021年10月)を刊行し、駒澤大学学術情報リポジトリに登録された。この他、『中世禅の知』(末木文美士監修、臨川書店 2021年7月)において、「達磨宗新出史料『心根決疑章』の発見」を掲載し、『心根決疑章』の発見を広く紹介することができた。 金沢文庫本の異本である、国文学研究資料館所蔵『心根決疑章』を紹介し、「国文学研究資料館所蔵『心根決疑章』について」(『駒澤大學佛教學部研究紀要』80、109-130p、2022年3月)を発表した。 特筆すべき成果として、令和3年(2021)10月28日に、貞応元年(1222)に「覚宴」が重刊したものに基づく三千院円融蔵所蔵『一字訣』を調査した。調査の結果、『一字訣』は仏地房覚晏の著述であることが判明した。覚晏『心根決疑章』の研究が呼び水となり、新たに達磨宗史料を発見することができたのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度中に、5回の研究会をオンラインで開催し、『心根決疑章』の読解を進めた。全体の3分の2の読解が完了し、当初の予定していた部分の読解が完了している。各大学がコロナ禍の対応に追われ、教員もその渦中にある中で、当初の予定通りの研究ができたことは、ひとえに研究協力者の尽力による。 研究成果も、「達磨宗新出史料『心根決疑章』の発見」(『中世禅の知』末木文美士監修、臨川書店 2021年7月)、舘隆志, 吉村誠, 師茂樹, 山口弘江, 柳幹康「達磨宗・仏地房覚晏『心根決疑章』訓註(上)」『駒澤大学仏教学部論集』52(2021年10月)、「国文学研究資料館所蔵『心根決疑章』について」(『駒澤大學佛教學部研究紀要』80、2022年3月)を発表することができた。 また、本研究が呼び水となり発見された達磨宗新出史料である三千院円融蔵所蔵『一字訣』は、今後の日本中世禅宗研究を大きく進展させる可能性を有するものとなった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の研究実績を踏まえ、今後の研究の推進方策として以下のものを考えている。 1.『心根決疑章』の研究会を重ねて、その読解を進展させる。 2.栄西門流から達磨宗に転派したと考えられる般若房法印大歇了心について研究を行う。 3.三千院円融蔵所蔵『一字訣』の調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していた調査が行えなくなったため。次年度には物品費として使用する予定である。
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