研究実績の概要 |
本研究は、達磨宗新出史料『心根決疑章』の読解を中心とする研究である。 前年の読解を踏まえた成果として、舘隆志, 吉村誠, 師茂樹, 山口弘江, 柳幹康「達磨宗・仏地房覚晏『心根決疑章』訓註(中)」『駒澤大学仏教学部論集』53(2022年10月)を刊行し、駒澤大学学術情報リポジトリに登録された。 2022年度は(2022年5月7日、6月24日、9月30日、11月25日、12月23日、2023年2月3日、2月10日、3月10日、3月31日)に、研究代表者の舘隆志と、分担者の吉村誠、師茂樹、山口弘江、柳幹康の5人で計9回の研究会を行うことができた。この成果は、2023年度中に駒澤大学学術情報リポジトリに登録予定の論文として発表する予定である。 研究期間全体を通して言えば、『心根決疑章』の読解は完了し、舘隆志「般若房法印大歇了心について」(『東アジア仏教研究』20、2022年)をはじめ多くの達磨宗関連研究を蓄積できた。中世日本禅宗の研究進展に資するものとなろう。また、さまざまな刊行物に論文を掲載した他、駒澤大学 2022年度後期公開講座「鎌倉時代の禅宗② 達磨宗について」と題して講演を行うなど広くその成果を発信することができた。 本研究で仏地房覚晏の『一字訣』を発見することができたことは極めて大きな成果となった。本発見は、覚晏や当時の達磨宗、ならびに鎌倉時代の初期禅宗の状況をより明らかにするものと思われる。その史料的な位置づけに関しては、舘隆志「達磨宗新出史料・仏地房覚晏『一字訣』の発見とその意義」(『印度学仏教学研究』71-1、2022年)と題して公表した。内容を含めた総合的な研究は、JSPS科研費JP23K00053「新出史料『一字訣』の読解を中心とした仏地房覚晏と達磨宗の総合的研究」(基盤研究C、代表者:舘隆志、分担者:吉村誠、師茂樹、山口弘江、柳幹康)にて進める予定である。
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