研究課題/領域番号 |
20K00063
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
松下 道信 皇學館大学, 文学部, 教授 (90454454)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 道教 / 内丹道 / 道蔵 / 道蔵輯要 / 道蔵未収文献 / 北斗経 / 伊藤東涯 |
研究実績の概要 |
本研究は、書誌学的な手法を意識的に用いることで中国近世期に展開した道教の内丹道に対する新知見を獲得し、道教研究における資料活用に関する新たな展望を提示することを目指すものである。すなわち、道教研究で基本資料とされる『道蔵』及び『道蔵輯要』の持つ資料の限界を踏まえ、それらに未収の道教文献を用い、最終的には、道教研究における『道蔵』や『道蔵輯要』未収資料の積極的な活用の有効性を示すことを目的とする。 この目的を遂行するに当たっては、中国・台湾各地の図書館に所蔵される、『道蔵』『道蔵輯要』未収の内丹道関連文献の各種版本の書誌学的調査を行うことを計画している。しかし、令和2年度以来のコロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行は、令和3年度も終息することなく、研究調査の対象地域であった中国や台湾への渡航は不可能な状態であった。 このため、これに代わる基礎的な調査として、『道蔵』『道蔵輯要』と関係する、日本における道教文献の書誌学的調査を行った。具体的には、天理大学附属図書館(以下、天理図書館)所蔵吉田文庫に見える『北斗経』と、『道蔵』『道蔵輯要』所収の『北斗経』の関係について天理図書館や京都学・歴彩館などで複数回にわたり調査を行い、新知見を得た。これについては令和4年度中に神道史学会で発表予定のほか、論文として発表予定である。また、天理図書館には古義堂文庫が収蔵されていることから、これについても併せて調査を行い、伊藤東涯『勢遊志』とその弟子の奥田士亨に関して得られた知見を論文として発表した。 その他、研究対象と深い関係を持つ中国近世期の内丹道については、従来の資料を基に論文を発表した。まず宋代から元代にかけて、全真教とその周囲で展開した内丹道の教理的整合性を巡る議論について論文をまとめたほか、全真教を中心とした道教と仏教の論争を記した『至元辯偽録』について論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、『道蔵』と『道蔵輯要』それぞれに関係する叢書の書誌学的調査や、中国各地の図書館に所蔵されて残る、『道蔵』未収の『悟真篇』各種版本の書誌学的調査を研究内容の中心に位置付けている。 令和3年度は、前年度に引き続き、台湾と中国における実際の書誌調査の実施時期について年度末までぎりぎりまでその可能性を模索した。しかし、最終的にCOVID-19の猛威は収まらず、台湾や中国への渡航は実質上不可能であった。令和3年度は、国内での書誌学的調査を除くと、海外での調査は遂行することはできなかった。 このため、令和3年度の研究費は、依然として大部分が未使用の状態となっている。一方で令和3年度は研究計画を補完するための国内での基礎的調査を行い、かなりの成果を得たため、次年度についても、COVID-19の流行の状況を確認しつつ、基礎的調査を継続したい。また、当初の中国及び台湾での調査研究については、研究期間の延長も視野に入れ、調査の内容や時期を改めて検討し、遂行するにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主要課題である、道教研究における資料活用に関する新たな展望を提示するには、中国や台湾など諸地域の図書館に収蔵される、『道蔵』『道蔵輯要』未収の関係文献の書誌学的調査は不可欠である。 令和2、3年度はCOVID-19により海外での調査は遂行できなかったが、令和4年度以降、現地での書誌学的調査が可能であるかどうか確認し、可能となり次第、速やかに調査を行い、研究の遅れを取り戻すことを目指す。特に中国大陸に比べ、台湾は入境に対して比較的緩やかな措置を取ることから、令和4年度中に台湾中央研究院附属傅斯年図書館での調査の実施を目指し、入境が難しい場合、資料の取り寄せなど、現地調査の代替となるような調査が可能か検討する。 また、令和3年度に行った、日本国内に残る道教関連文献の調査は、本研究計画に大いに寄与する調査結果をもたらした。このため、来年度は更に天理図書館を中心に、日本国内の道教文献の資料調査を進め、研究課題を補完することとしたい。その他、必要に応じて研究期間の延長も視野に入れ、研究期間内での海外調査のタイミングを改めて検討し、研究結果の充実につなげることを目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の主要課題である、道教研究における資料活用に関する研究を遂行するには、中国や台湾の図書館に収蔵される『道蔵』や『道蔵輯要』未収の内丹道関連文献の各種版本の書誌学的調査が不可欠である。 しかし、令和3年度は、昨年度に引き続き、世界的にコロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るったため、当該地域への調査を目的とした渡航は不可能であった。このため、国内における書誌学的調査及び従来の資料に基づく研究活動を除き、同年度における海外での調査研究は断念せざるを得なかった。また、こうしたことから令和3年度の研究費は海外調査研究に相当する大部分が未使用の状態になっている。 令和4年度は、COVID-19の収束を待って、台湾の中央研究院附属傅斯年図書館での調査を行い、速やかに書誌調査を行い、研究の遅れを取り戻すことを目指す。現地調査が難しい場合、資料の取り寄せが可能か交渉を行うとともに、基礎的調査として日本国内に残る道教関連文献の調査を引き続き行うこととしたい。
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