研究課題/領域番号 |
20K00091
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
原 克昭 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (70318723)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中世神道 / 近世神道 / 吉田神道 / 神話注釈 / 中世日本紀 |
研究実績の概要 |
本研究は、中世後期に全国規模で活動した神道家である吉田家の〈家学〉としての学問体系を神話注釈と連動させて文献資料学的視座から再検証することによって、〈学派〉として展開した近世神道との思想史的断続性、ひいては中世後期から近世前期における神道思想史の位相を具体的・立体的に捉え返すことを目的とする。研究実施計画は、およそ以下の3点に集約される。 (1)「吉田家」による「神話注釈」諸本系統の整理と体系化に関しては、昨今の社会現況に伴って関連資料を所蔵する諸機関(東京・京都・奈良)への調査出張の実施延期を余儀なくされ実現化には至っていない。事前の目録調査および予備調査を通して調査対象資料の選定をはかる工夫を施すことで、天理図書館吉田文庫における本格調査の再開と円滑化をはかるとともに、吉田家とゆかりのある清原家関連資料についても補助調査を実施し、本格調査と連動して効率的に資料調査を推進させる。 (2)「神話注釈」からみた吉田神道家の「学問体系」の再構築に関しては、すでに従前の研究活動において蒐集された神話注釈文献の整理・再検証を随時進めている。吉田神道から派生した吉川神道の地方伝播という視座からは、弘前藩に伝えられた資料から検証を進めている。 (3)「神話注釈」の文脈から中世と近世の神道思想史的断続性・位相差の再検証に関しては、津軽の古刹である深浦円覚寺に所蔵されている資料群のうちに吉田神道ならびに御流神道玉水流に関係する資料数点を発見し調査報告書に書誌解題を寄せた。今後は諸資料の翻刻紹介と併せて詳細な内部検証ならびに中央と地域の神道文化圏の究明をはかってゆく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、全体像が未解明にある吉田家の「神話注釈」諸本の収集と書誌調査を各年度で継続的に遂行し諸本系統の整理と体系化をはかることを、主要課題の一つとして提示している。在地の津軽地域における資料調査活動を通して新たな資料の発見をすることはできたが、全国規模に及ぶコロナ禍に伴い、関連資料を所蔵する諸機関(東京・京都・奈良)への調査出張がかなわず、当初の研究実施計画に従った本格調査・補助調査に着手することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、社会状況に鑑みつつ当初の研究実施計画に従った本格調査・補助調査を起動させ、調査研究の効率的な再開を試みるとともに、中央と地方を結ぶ神道思想文化圏を復原・結像させることで研究の進展をはかってゆく所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国規模でのコロナ禍の影響により、当初の研究計画に提示した調査出張が全く実施できなかったため、旅費の執行ならびに調査関係資材の調達には及ばなかった。 今後の社会状況に鑑みながら、調査関係資材の準備に着手するとともに、次年度における調査出張の再開と再構築をはかってゆく。
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