研究課題/領域番号 |
20K00091
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
原 克昭 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (70318723)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中世神道 / 近世神道 / 吉田神道 / 神話注釈 / 中世日本紀 |
研究実績の概要 |
本研究は、中世後期から近世前期にかけて展開した吉田神道の〈家学〉と神話注釈の展開相について、文献資料学的見地から思想史的に体系化して検証することを目的とする研究である。研究実施計画に即した本年度の研究実績の概要は以下の通りである。 (1)吉田家による神話注釈の諸本系統の整理と体系化に関しては、社会状況の影響にともない実施が停滞していた資料調査について、本年度は京都方面での本格調査および国立国会図書館・国立歴史民俗博物館等における補助調査の再開に加えて、新たな調査対象として讃岐善通寺本『麗気記』に関する原本の書誌調査をふくめた本格調査に着手した。 (2)神話注釈からみた学問体系の再構築に関しては、吉田家を中心とする神話注釈文献の解読作業の継続的推進とともに、津軽の地域伝承を基調とした神社信仰や俗信にまつわる論文を発表した。また、その調査過程で得られた知見やノウハウは、津軽地域の神社の資料目録の作成、ならびに津軽寺院圏に伝播した御流神道玉水流に関する論文執筆の場面において応用的に活用させることができた。 (3)神話注釈の文脈からみた神道思想史の断続性・位相差の再検証に関しては、本研究課題の総括的成果となるが、その段階には至らなかった。従前の研究を通して獲得した中世と近世を縦貫する時代的断続性および中央と地方の信仰圏的位相差という両面の視座から立体的に再検証をはかることで、ひきつづき本研究の包括的な研究成果としてゆく所存である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、昨年度までの社会情勢に伴う関連諸機関における資料調査の遅滞を取り戻すべく各処調査を推進してきたが、所属先の学内業務の繁忙等により当初の計画に見合った本格調査には及ばなかった。その一方で、本研究の成果は徐々にではあるが立論・成稿するように努めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の次年度への期間延長により、本格調査・予備調査・補助調査にわたる調査体制を調整することで進捗状況の遅延挽回を図るとともに、本研究を通して得られた知見を包括する研究成果の集大成をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、前年度までの社会情勢に伴い実施を見送っていた国内諸機関における本格調査出張の遅滞、および当初予定していた海外の大学機関における研究集会の未実施により生じたものである。海外出張に関しては国際情勢の改善を期しつつ、国内諸機関における本格調査・補助調査の実施に伴う調査出張費と資料調査に要する物品調達の費用として執行する計画である。
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