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2023 年度 実績報告書

1920-1930年代植民地台湾におけるアジア共同体認識の変容

研究課題

研究課題/領域番号 20K00092
研究機関山形大学

研究代表者

許 時嘉  山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (10709158)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード台湾民報 / 台湾新民報 / 王敏川 / 翻訳記事 / 小生夢坊 / 日華親善 / アジア主義
研究実績の概要

今年度は植民地台湾でアジア主義を唱える論者たちに着目し、彼らの思想と行動の背景を考察した。主な研究は以下の二点である。
(1)『台湾民報』の編集者だった王敏川の翻訳活動を考察し、彼が主導した日本語新聞の転載と翻訳の実態を明らかにする。王敏川は早稲田大学出身で、1923年から『台湾民報』の編集に携わり、1927年左派右派の対立による台湾文化協会の分裂を契機として、右派の編集者群から離脱して左派陣営に転じた。元々共産主義者だったと後に研究者は断定しているが、1923年から1927年の間は右派の蒋渭水陣営と一緒に日華親善論およびアジア主義を積極的に鼓吹し、日本国内の新聞紙や総合誌の記事を中国語に翻訳することに精力的で、日本からの情報輸入に大きく貢献した。本研究は1923年から1927年までの彼の翻訳記事を検討し、初期から1927年前後までの翻訳内容の傾向を明らかにすると共に、『台湾民報』(1923年~1927年の文協左右分裂前後まで)における日本側情報の受容ルートと編集の仕組みを可能な限り可視化した。
(2)30年代以降、植民地台湾におけるアジア主義言説の流布の実態を把握するため、『台湾民報』の継続誌である『台湾新民報』に定期的に寄稿した漫画家、文芸家、舞台監督の小生夢坊(1895-1986)の台湾旅行に注目した。小生夢坊はかつて左翼思想の持ち主で特高警察の監視を受け、特別用視察人乙号に挙げられた。ところが、1934年に満州朝鮮の外地遊歴の展開に伴い、彼の言論はアジア主義および天皇崇拝に傾くようになった。本研究は1935-1936年1回目と2回目の台湾旅行記の特徴から、小生のアジア観と台湾観、小生と新民報関係者の思想上の接点と相違などを初歩的に考察した。
今年度は口頭発表2件(分科会企画1件及び招待発表1件を含む)が行われ、査読付き論文2本が採択掲載された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 1924年タゴールと辜鴻銘のアジア訪問2023

    • 著者名/発表者名
      許時嘉
    • 雑誌名

      日本思想史学

      巻: 55 ページ: 136-153

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 1924~1926年《臺灣民報》對日華親善與亞細亞聯盟的報導、評論以及論述轉折2023

    • 著者名/発表者名
      許時嘉
    • 雑誌名

      臺灣史研究

      巻: 30(4) ページ: 101-143

    • 査読あり
  • [学会発表] 『台湾民報』における日本語新聞の転載と翻訳:王敏川の翻訳活動を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      許時嘉
    • 学会等名
      日本台湾学会第25回学術大会第4分科会「1920-1930年代植民地台湾メディアにおける情報流通構造と表現スタイルの受容」
  • [学会発表] 1930 年代小生夢坊的臺灣行旅2023

    • 著者名/発表者名
      許時嘉
    • 学会等名
      「文化政治與媒體市場:『臺灣新民報』與 1930 年代殖民地臺灣」学術工作坊(中央研究院台湾史研究所)
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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