研究課題/領域番号 |
20K00097
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
門 亜樹子 名城大学, 経済学部, 准教授 (20791916)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | バルベラック / アダム・スミス / ジョン・ロック / スコットランド啓蒙 / 自己愛 / 娯楽と労働 / 感覚の哲学 / 反省の哲学 |
研究実績の概要 |
(1)昨年度に引き続き、バルベラック『娯楽論』第1編第3章後半の翻訳の修正作業および注記で引用されている諸文献の調査を行った。併せて、自己愛(利己心)の系譜に関する18世紀西欧の一次文献および二次文献――主に近年のアダム・スミスの海外研究動向――について調査した。 (2)研究課題に関連するテーマ(スコットランド啓蒙とアダム・スミス)の共著論文を執筆した。同論文は次年度に公表予定である。牧師啓蒙としてのスコットランド啓蒙におけるスミスの思想的特異性を踏まえ、『道徳感情論』における「想定された中立的な観察者」としての「良心」の形成論と、人間の自己愛(利己心)を経済発展の原動力と捉える「18世紀的人間像」に基づく「自然的自由の体系」を軸とする「経済学」(political economy)との関連について整理した。 (3)ピエール・プレヴォ『近代哲学三学派』(アダム・スミスの遺稿集『哲学論文集』仏訳版の「訳者解説」)、ドゥーガルド・ステュアート『ヨーロッパ文芸復興以来の形而上学・倫理学および政治学の発展に関する一般的展望』、ジョゼフ=マリ・ドゥ・ジェランド『哲学体系比較史――人知原理との関連性』などの18世紀末~19世紀前半の哲学史に基づき、「スコットランド学派」(シャーフツベリ、ハチスン、リード、ビーティ、ステュアートら)によるジョン・ロック『人間知性論』の位置づけについて、「感覚の哲学」および「反省の哲学」、懐疑論の観点から再考した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
18世紀西欧の自己愛概念に関する研究動向の調査および文献収集を進め、研究成果の一部を共著論文として執筆した。昨年度のバルベラック『娯楽論』翻訳の修正作業の遅れが響き、全体の進捗状況としては「やや遅れている」と考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年次は、引き続き『娯楽論』第1編の訳文修正作業を進めてゆく。近年の海外のアダム・スミス研究に基づき、マンデヴィル、ヒューム、スミスの思想的系譜について考察を進めてゆく。研究の遂行によって得られた知見を基に、論点の整理に努め、研究成果を論文または著書の形で公表することを考えている。
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