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2020 年度 実施状況報告書

『葉隠』の武士道における忠誠の再検討―「誠実」をめぐる日本倫理思想史学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00100
研究機関山口大学

研究代表者

栗原 剛  山口大学, 人文学部, 准教授 (50422358)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード葉隠
研究実績の概要

本年度は、『葉隠』における「奉公」、とくにその中で「奉公人」に求められる忠誠の内実を探り直すため、菅野覚明・栗原剛・木澤景・菅原令子『新校訂全訳注 葉隠(上・中・下)』(講談社学術文庫)と、佐藤正英校訂・吉田真樹監訳注『底本 葉隠〔全訳注〕(上・中・下)』(ちくま文庫)を照らし合わせながらの、本文読解に着手した。あわせて、小池喜明『葉隠 武士と「奉公」』(1999)・種村完司『『葉隠』の研究 ―思想の分析、評価と批判―』(2018)ほか各種の研究書と、学界において近年発表された研究論文を読み直し、今後の研究の方向性を見定めるための準備作業を行った。いまだ具体的な研究成果を公表するには至っていないが、平時の「奉公」における忠誠のあり方を、有事の「武篇」における要請としても説かれた「死」の覚悟・準備・実践につながるものとして明らかにするためには、①口述者である山本常朝と、記述・編集を担った田代陣基、それぞれに固有な人生と「家職」の実態を踏まえつつ、求められた「奉公」の諸局面・諸段階を整理すること、また、②鍋島武士にとっての自己・主君・主家が、「奉公」における忠誠の意識においてどのように連関するものであったかを整理すること、以上2点が必須の課題であることを、再認識することが出来た。なお、これらを広く近世日本思想における「誠実」の問題として位置づけるという長期的な構想のもと、ほぼ同時期に活躍した京都の儒学者・伊藤仁斎の倫理思想について、その学問における「誠」「忠信」の意義を確認すべく、『語孟字義』ほか諸著作の読解を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍にともなう授業実施体制の混乱、研究環境の制限があったため。本研究は、学外・県外への移動や、そこでの現地調査・資料収集を、必須の活動とするものではないが、授業を中心とした教育活動に割かれる時間と労力が増加したことにより、研究活動のためのそれは相当の圧迫を受けた。次年度においてどの程度状況が改善されるかはいまだ不透明だが、生じた遅れを取り戻す必要を認めている。

今後の研究の推進方策

授業等における教育活動と、本課題につながる研究活動とを、可能な限りリンクさせながら、新たな知見を得るべく努力したい。また次年度中には、たとえ中間的なものであっても、論文もしくは著書という形で成果を発表できるよう、計画を立てたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍による研究活動の制限と遅れによる。繰り越された額は、物品費(図書等)として使用する予定であるが、県外への移動が自由になった場合には、学会や研究会に参加するための旅費にあてる可能性もある。

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公開日: 2021-12-27  

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