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2022 年度 実施状況報告書

『葉隠』の武士道における忠誠の再検討―「誠実」をめぐる日本倫理思想史学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00100
研究機関山口大学

研究代表者

栗原 剛  山口大学, 人文学部, 准教授 (50422358)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード葉隠
研究実績の概要

『葉隠』の武士道における「忠誠」の意義を、広く日本倫理思想史の中に位置づけるとともに、普遍的な倫理学的問題につながるものとして掘り下げるべく、「誠実とは何か」という問いのもとで考究する、という課題に引き続き取り組んだ。『葉隠』もその一側面を担うところの、近世武士の倫理について考察を進めるためには、これを、儒学の枠組みにおいて説かれた自他間の道徳としても、考える必要がある。本年度刊行された『山口県史』(通史編・近世)においては、萩藩の藩校(明倫館)で学頭をつとめた山縣周南が、同藩の武士たちに向けて儒学の意義を説いた著作、『為学初問』の思想内容を紹介する一節を分担執筆した。周南は荻生徂徠の高弟として知られており、その思想・学問は基本的に徂徠学を受け継いだものであるが、同時にそこには、伊藤仁斎からの独自な影響を垣間見ることも出来る。また『為学初問』には、戦国期までの武士の倫理と、同時代の儒学が求める道徳との差異および接点についても論及があり、本研究課題にとって示唆の大きい対象であることがわかった。以上のように、近世日本の倫理思想における「誠実」をめぐって、それを捉えるための視野を広げる仕事には一定の成果を得たが、『葉隠』の「忠誠」そのものに対する考究については、いまだ論文執筆の途中にあり、公的に発表されるまでには至っていない。大きな問題関心を共にする研究者との知見の交換を含め、当初予定していた計画や成果を達成すべく、研究期間の一年延長を申請した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定されていた他の研究者と知見を交換するための出張や、それと連動した論文集の公刊といった企画が、コロナ禍の延引のせいもあっていまだ具体化には至らず、研究成果を発表する方法や時期を再考すべき状況にあるため。

今後の研究の推進方策

他の研究者との会合や、それと連動した論文集の公刊計画が進展・実現することを期するが、諸事情によりそれが研究期間内にかなわない場合には、他の媒体を通じ、自身の研究成果を論文として発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究計画に遅れが生じ、書籍等必要な物品の購入計画にも影響を及ぼした。また、当初予定していた研究者同士の会合がいまだ実現しておらず、旅費の支出がなかった。なお、許可された延長期間(次年度)においては、(旅費としての支出が生じない限り)物品費としての使用(書籍等の購入)を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 山口県史 通史編 近世2022

    • 著者名/発表者名
      田中誠二、川村博忠、河本福美、森下徹、山本洋、山﨑一郎、宮崎勝美、木部和昭、石川敦彦、脇正典、栗原剛、尾崎千佳、上野大輔、荏開津通彦、石﨑泰之、山田稔
    • 総ページ数
      1082
    • 出版者
      山口県

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公開日: 2023-12-25  

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