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2022 年度 実施状況報告書

ピューリタニズムの寛容論から構築される多文化共生の今日的原理

研究課題

研究課題/領域番号 20K00108
研究機関東京女子大学

研究代表者

森本 あんり  東京女子大学, その他部局等, 学長 (10317349)

研究分担者 岩井 淳  静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (70201944)
竹澤 祐丈  京都大学, 経済学研究科, 准教授 (60362571)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードピューリタニズム / イスラム / 寛容 / 宗教間対話
研究実績の概要

2022年度は、コロナ感染が少しずつ収まり、研究活動の再開の知恵を試される時期となった。研究会はオンラインと対面とが併用となり、遠方からの出席に利便性が見えたが、直接の対面による意見交換の意義もなお大きい。
研究代表者と研究分担者が共同で所属し企画を担っている学会活動は積極的に続けられた。本研究計画の主たる活動プラットフォームである日本ピューリタニズム学会では、2022年度の学術研究大会シンポジウムが東京女子大学のキャンパスにおいて対面で催され、ピューリタニズム研究ばかりでなく、英米思想研究、日本研究の横断的な交流が持たれ、分野に関しても宗教、哲学、文学、歴史学、経済学などからの意見交換がなされた。
研究代表者は、2020年末に刊行した『不寛容論――アメリカが生んだ共存の哲学』(新潮選書、2020年)をめぐり、ピューリタニズムの寛容論という歴史的系譜を軸としつつも、現代の諸局面において寛容と不寛容の交錯を論じることができた。
イスラムからの視点については、岩波書店より刊行される『世界歴史』第22巻に「宗教と現代政治」という題の章を寄せ、近日刊行の予定である。これは、従来の近代啓蒙史観が見落としてきた20世紀の世界的な宗教復興の潮流を検証し、その解釈軸をアメリカと中東との緊張関係において読み解く試みである。イランは20世紀中葉の第二次大戦終結以前から中東のイスラム勢力と西欧の世俗的な自由主義との相克の主戦場であったが、その相克にアメリカのみならずソ連や中国などの勢力が巻き込まれてゆき、9.11の同時多発テロ事件とその後へと連続している。原稿執筆にあたっては、こうしたイスラム側からの世界理解を見直す努力をしたが、その後ロシアのウクライナ軍事侵攻という事態が生じ、中国やイスラム圏諸国の間接的な関与を予測した部分についての記述が歴史的にも例証されたように思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度は、研究代表者の所属移籍と学長職就任のため、研究に十分な時間を割くことができなかった。他方、研究分担者2名については、別記のように不断の進捗が見られた。研究課題は、期間の延長をご承認いただいたので、研究代表者の責任において進め、出版物などの成果をもって社会還元を期したいと考えている。

今後の研究の推進方策

今後は、アメリカやイギリスをはじめとするリベラルな自由主義勢力がイスラム勢力とどのような相互理解をもっていたのか、あるいはもつことができずにいたのか、を歴史的にさかのぼって検証し、そこから21世紀の課題として新たな共存の枠組みを模索し提案する計画である。

次年度使用額が生じた理由

2022年度は、研究代表者の所属移転などがあり、十分な研究時間を確保することができなかった。これを取り戻すために、2023年度は、学会交流、海外出張、備品購入などで助成金を使用する計画である。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 図書 (4件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] 「英米のピューリタニズムとコモンウェルス」2023

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 雑誌名

      『ピューリタニズム研究』

      巻: 17 ページ: 3-15

  • [雑誌論文] 「時代に媚びず」2022

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 雑誌名

      日本私立大学連盟編『大学時報』

      巻: 406 ページ: 10-15

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 「ブリテン近代史研究の3つの焦点――千年王国、複合国家、歴史教育」2023

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 学会等名
      岩井淳先生退職記念シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 「共存の哲学としての不寛容論」2022

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      三菱UFJ信託銀行次世代経営リーダー研修
    • 招待講演
  • [学会発表] 「理解できない人々と共存するには――初期アメリカの歴史的経験に学ぶ」2022

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      フェリス女学院大学・キリスト教研究所講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 「梅田百合香『ホッブズ リヴァイアサン』に関するコメント」2022

    • 著者名/発表者名
      竹澤祐丈
    • 学会等名
      経済学史研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 「J・G・A・ポーコックの複合国家論の特徴とその可能性」2022

    • 著者名/発表者名
      竹澤祐丈
    • 学会等名
      第47回 日本イギリス哲学会 研究大会
    • 招待講演
  • [図書] 『改革が作ったアメリカ――初期アメリカ研究の展開』2022

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      小鳥遊書房
    • ISBN
      978-4867800102
  • [図書] 『キリスト教神学命題集――ユスティノスからJ.コーンまで』2022

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      日本キリスト教団出版局
    • ISBN
      978-4818411043
  • [図書] 『複合国家イギリスの地域と紐帯』2022

    • 著者名/発表者名
      竹澤祐丈
    • 総ページ数
      359
    • 出版者
      刀水書房
    • ISBN
      978-4887084766
  • [図書] 『比較革命史の新地平――イギリス革命・フランス革命・明治維新』2022

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 総ページ数
      331
    • 出版者
      山川出版社
    • ISBN
      978-4-634-67254-3
  • [備考] 日本ピューリタニズム学会

    • URL

      http://jpuritanism.com/

  • [備考] 初期アメリカ学会

    • URL

      http://earlyamericanists.jp/

  • [備考] 日本イギリス哲学会

    • URL

      https://jsbph.org/

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公開日: 2023-12-25  

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