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2022 年度 実施状況報告書

十七・十八世紀オランダ啓蒙主義と宗教的な正統の問題

研究課題

研究課題/領域番号 20K00112
研究機関立教大学

研究代表者

加藤 喜之  立教大学, 文学部, 准教授 (00708761)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード思想史 / 哲学 / 宗教学 / キリスト教 / オランダ / スピノザ / デカルト / 十七世紀
研究実績の概要

最終年度の2022年度は、オランダ北部にあるフラネッカー大学の哲学教授アンダーラの著作を中心に分析する予定であったが、前年度により焦点をあてて研究する必要が生まれた、保守派神学者マレシウス(Samuel Maresius, 1599-1673)のテクスト分析を引き続き行い、論文を完成させ、海外の雑誌に投稿することができた。新型コロナウイルス感染症の影響だろうか、査読には時間がかかったが、無事、査読を通り、『十七世紀学』The Seventeenth CenturyというTaylor&Francis傘下の学術雑誌に掲載が決まった。実際の研究においては、引き続き、明治大学の坂本邦暢博士との共同研究を進め、上述したマレシウスと同系列にある保守派神学者マストリヒト(Petrus van Mastricht, 1630-1706)のデカルト主義批判の著作を検討し、詳細なテクスト分析を行なった。なかでも、マストリヒトによるスピノザ批判に注目し、さまざまなテクストを分析し、論文を完成させた。論文は、Brill傘下にあるChurch History and Religious Cultureという海外学術雑誌に投稿した。査読を経て、論文がアクセプトされ、掲載が決まった。22年度は海外での研究発表を望んでいたが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、思ったように発表は叶わなかった。渡航の唯一の成果としては、本務校の夏季休業期間中に行なった、ロンドンとパリでの資料収集と現地の研究者との交流があげられるだろう。とはいえ、本研究の大部分が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、進捗が遅れたこともあり、研究期間を一年延長する。また、23年度は、申請者の本務校から在外研究の機会が与えられ、ケンブリッジ大学に滞在することが決まっている。その機会を生かし、本研究課題をさらに発展していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

随分と緩和されたとはいえ、当該年度も新型コロナウイルス感染症の影響で引き続き海外への渡航がやや困難な状況にあったため、国際的な研究機関での研究発表やそれに付随した海外の研究者との連携はのぞんでいたほど進まなかった。このように、本研究の大部分が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、進捗が遅れたこともあり、研究期間を一年延長する。また、23年度は、申請者の本務校から在外研究の機会が与えられ、ケンブリッジ大学に滞在することが決まっている。そうした一方で、重要な著作のテクスト分析や論文作成、さらには海外学術雑誌への投稿は十分に行えており、その点において本研究課題の進捗は順調だといえる。

今後の研究の推進方策

全体で四年の研究計画であったが、本研究の大部分が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、進捗が遅れたこともあり、一年延長をし、23年度を最終年度とする。23年度は、申請者の本務校から在外研究の機会が与えられ、ケンブリッジ大学クレア・ホールに客員研究員(Visiting Fellow)として在籍することが決まっており、海外の大学での研究発表や資料収集の機会は十分に確保できると思われる。新型コロナウイルス感染症の影響ため、これまで可能でなかった研究の機会が最終年度で与えられたので、その機会を十七・十八世紀オランダ啓蒙主義と宗教的な正統の問題を明らかにするために活用する。ただ、明治大学の坂本邦暢博士との共同研究を引き続き行う予定であるが、申請者が在外研究のため、しばしば日本に帰国し、共同研究を継続する必要がある。日本に帰国の際は、日本での資料調査にも時間を費やす予定である。

次年度使用額が生じた理由

本来は全体で四年の研究計画であったが、本研究の大部分が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、計画していたように使用が叶わなかった。とりわけ、国際機関での研究発表やそれに付随した海外の研究者との連携は進まなかったことが次年度使用額が生じた理由である。ケンブリッジ大学クレア・ホールに客員研究員(Visiting Fellow)として在籍するため、海外の大学(現時点では、ロンドン大学、エディンバラ大学、ローマ大学)での研究発表や資料収集に本科研費を使用する予定である。また、明治大学の坂本邦暢博士との共同研究や資料調査を引き続き行う予定であるため、日本への渡航費としても使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A Diagnosis of Cartesian Atheism: Petrus van Mastricht’s Critique of Spinoza’s Theological-Political Treatise2023

    • 著者名/発表者名
      Kuni Sakamoto, Yoshi Kato
    • 雑誌名

      Church History and Religious Culture

      巻: 103 ページ: 1-21

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Trojan Horse in the Citadel of Orthodoxy: Samuel Maresius’s Critique of Cartesian Theology2023

    • 著者名/発表者名
      Kuni Sakamoto, Yoshi Kato
    • 雑誌名

      The Seventeenth Century

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Einzelgaengerとの対話―研究の歩みをめぐって2022

    • 著者名/発表者名
      加藤喜之
    • 学会等名
      日本基督教学会北海道支部会
    • 招待講演
  • [図書] キリスト教文化事典2022

    • 著者名/発表者名
      加藤喜之
    • 総ページ数
      790
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621307151

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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