本研究の成果の学術的意義はまず、生体認証による管理社会の進行すなわち人間の家畜化と、動物愛護の精神の発達すなわち動物の人間化を、表裏一体の現象として捉え、そのような社会はもはや個人主義によっては説明しきれないものとなっていることを示したことであり、この点の社会思想史的な意義は大きい。本研究また、写真のイメージが、現代における主体の形成に欠かせない神話的な機能を果たしていることを示した。これは難解で知られるピエール・ルジャンドルの「ドグマ人類学」を、具体例に即して明解化した点でも意義深い成果であると言える。
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