研究課題/領域番号 |
20K00116
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
桂島 宣弘 立命館大学, 文学部, 教授 (10161093)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 古典籍ネットワーク / 植民地朝鮮 / 儒林 / 儒学・朱子学 / 徳川思想 |
研究実績の概要 |
2020年度は、コロナ禍の影響を大きく受けて、計画されていた渡韓しての史料調査、意見交換、韓国・中国の研究者の招聘、国際研究会の開催などが、ほとんど実施できなかった。とはいえ、オンラインを活用して、4回の研究会を開催し(6月19日、7月17日、11月16日、11月30日)、国際研究会も1回開催した(2021年2月20日)。 また、韓国全州大学校でオンラインで開催された国際学術会議で報告し(12月8日)、同じくオンラインで開催された韓国日本学会で基調講演を行った(2021年2月6日)。 これらの研究成果もあって、植民地期朝鮮での儒林の動向についての基礎的調査を進め、主として儒林や郷校が刊行していた雑誌の基礎的データを蒐集することができた。具体的には、朝鮮総督府の介入の下に組織された中央儒林団体である経学院の機関誌『経学院雑誌』、大東斯文会の『大東斯文会報』、儒道振興会の『儒道』、朝鮮儒教会の『日月時報』、朝鮮儒道連合会の『儒道』などの全記事の目録、内容の種別や使用言語の分類、執筆者のリストと来歴、全羅道の儒林団体である儒道彰明会の機関誌『彰明』に登場する全人物のリスト、朝鮮総督府などが作成した公文書、『毎日申報』『経学院雑誌』などに記載されている朝鮮全土の郷校に関わる記事のリストとその内容目録などについて、基礎的データ蒐集を行うことができた。それらの成果の一部は、『東アジアの思想と文化』12号として刊行されている(2021年3月、なおこの刊行には科研費は用いられていない)。また、全州大学校主催の国際学術会議では、近代日本の儒学が18世紀末以降の儒学の趨勢と深くつながっていることをのべ、朝鮮王朝~植民地期の儒林の動静と分岐していく背景などについて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響によって、やや遅れているといわざるをえない。オンラインでの研究会・学会・意見交換は推進してきたものの、直接東京や韓国で史料調査できなかったこと、中国・韓国や関東方面から研究者を招聘できなかった影響は計り知れない。研究が三年計画であるため、2020年度については、韓国語・中国語論文の翻訳、オンライン研究会での講師招聘のほか、資料・図書購入を中心に科研費は用いることとし、基礎的研究は何とか維持している。2020年度に予定されていた渡中・渡韓、中国・韓国からの研究者招聘などは、状況が許す限り2021年度・2022年度において実施するものとしたい。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度前期も資料・図書購入と、韓国語論文の翻訳、オンラインでの国際研究会の開催を行い、科研費はそれらに用いることとなる。これらを通じて、植民地期朝鮮儒林の古典籍の分布の基礎的調査を可能な限り継続し、同時に明治期日本の儒者の典籍研究との比較を行っていく。2021年度後期には、渡韓が可能になる状況であれば、全州大学校古典籍研究所での現地調査を実施したいが、不可能であれば引き続き基礎的文献調査、オンラインでの研究会・意見交換を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、渡韓・渡中ができず、また中国・韓国からの研究者を招聘できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度科研費と合算して、基礎資料の購入、韓国の研究者の招聘のための費用等に用いることとしたい。
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