研究課題/領域番号 |
20K00116
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
桂島 宣弘 立命館大学, 文学部, 教授 (10161093)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東アジア / 明・清王朝思想史 / 朝鮮王朝思想史 / 儒林 / 古典籍の流通 / 徳川思想 |
研究実績の概要 |
2021年度は、コロナ禍のため訪韓・訪中・渡日ができなかったため、ZOOMを用いたオンライン研究会を開催し、研究課題及びその周辺課題に関わる意見交換に努めた。報告者とテーマは以下の通り。沈煕燦(延世大)「帝国日本のマルクス主義と植民地朝鮮」/松本智也(立命館大)「文化易地聘礼に対する徳川幕府の対応」/許智香(立命館大)「植民地朝鮮における京城帝国大学「支那」系講座編成の特質」/古文英(立命館大・院)「明清の史書と山田方谷の『続資治通鑑綱目講説』」/金泰勲(四国学院大)「DBHP「植民地朝鮮の日本人宗教者」成果報告―「朝鮮総督府宗教関係文書」を中心に―」/松川雅信(関西大)「昭和戦前期の山崎闇斎研究と植民地朝鮮」/石ヒャン(広東外語外貿大)「日韓中の国際共同教育プロジェクト「キャンパスアジア」の現況と課題」/ペレス・リオボ・アンドレス(同志社大)「スペインにおける20世紀初頭のオリエンタリズム」/殷暁星(一橋大)「琉球版『六諭衍義大意』の研究」/石運(重慶大)「18世紀の日本儒学と地域社会」/石原和(立命館大)「「教団未満」の宗教者と仏堂」裵貴得(立命館大)「1910年代と20年代における朝鮮教会の自立と自治に関する一考察」/呉天嬌(立命館大・院)「『徒然草』研究――「典拠」と「語彙」の再検討」/肖ゴン(キ南大学)「中国広東地方における慈善組織」/奈良勝司(広島大)「和宮帰京問題と三条実美」/向静静(立命館大)「『傷寒論』の「日用」」。これらの研究会を通じて、17~20世紀における日中韓の学問・学術が依拠した古典籍の流通ネットワークについて意見交換を進めることができた。なお、直接これと関わらない報告もあるが、それらの多くは東アジア史学思想史に関わるテーマであり、古典籍ネットワークを土台に東アジア史学思想ネットワークを分析する上で、有益な報告であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ZOOMを用いた研究会を活発に行ったとはいえ、コロナ禍のため実際に研究者間で直接意見交換できなかった弊害は大きい。また、全州大古典籍研究所を直接訪問して史料調査できなかったことの影響も大きく、2021年度の研究は同研究所がこれまで整理してきた資史料を確認しつつ、その実相を確認するに止まった。また、朝鮮王朝に集積された古典籍のネットワークを明・清王朝、徳川王朝との関連で明らかにすることも、2022年度の課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度も引き続きZOOMを用いた研究会をほぼ月一回の頻度で開催する。2021年度は、東アジア思想文化研究会会員を中心とした研究会に止まったため、2022年度は中国・韓国の科研テーマに関わる研究者を招聘してオンライン研究会を開催する予定である。また、とりわけここ10年来取り組んできた東アジア史学思想史と古典籍ネットワークの関連について検討・分析を進め、研究最終報告としてまとめていくこととなる。なお、コロナ禍の状況次第であるが、東京・国立国会図書館や渡韓しての全州大古典籍研究所での史料調査も可能な限り実施していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
韓国渡航ができず、また中国・韓国からの研究者を招聘できなかったため、2021年度には次年度使用額が生じた。2022年度は、国際渡航が可能であれば、韓国での現地調査、韓国側研究者の招聘などに科研費を用いる予定であるが、不可能な場合は韓国・中国・日本の研究者を招いてのオンライン研究会開催費(謝金等)に用いるほか、研究とりまとめのための事務費・人件費に充てる計画である。
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