研究課題/領域番号 |
20K00123
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 寛 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40431879)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遊び / ゲーム / 没入 / イマージョン / プレイヤー |
研究実績の概要 |
本研究課題は、現代を代表する遊びであるデジタルゲームにおける没入(イマージョン)概念を美学的観点から考察し、現代のメディア環境における現実世界と虚構世界の関係を解明するものである。その具体的作業は、「遊び」「メディア」「プレイヤー」という三つの軸に即して、デジタルゲームに特有な没入の様態を解明することである。その目的は、狭義の虚構世界を生み出すメディア環境の構築に有益な知見を提供するだけでなく、バーチャル環境や情報通信技術教育、eラーニングの構築など、ユーザーや参加者の積極的関与と没入が要請される多くの社会実践に対して有益な示唆を与えることである。 第二年度である令和3年度には、ゲームプレイヤーのアイデンティティの問題に焦点を当てた。とりわけ、スポーツとゲームの関係に着目し、その研究成果は、第15回藝術学関連学会連合公開シンポジウム「芸術とスポーツ」での「芸術、スポーツ、ゲーム──三項関係で考える」で発表された。また、現代の多様なメディア文化におけるプレイヤーについては、マーティン・ロート、マーティン・ピカールとの共編著である『ローカルとグローバルの間の日本の現代メディア文化』を通して研究成果を発表した。 このうち後者は、研究代表者がこれまで数年かけて行ってきた日本とドイツ(主にライプツィヒ大学)の共同研究の成果であり、それによって、本研究課題を、日本のデジタルゲーム文化に地域研究やメディア論の視点から関心をもつヨーロッパの若手研究者の議論と接続することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初予定していた通りの研究遂行および成果発表ができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和4年度は、これまで二年間の成果、すなわちメディアとプレイヤ ーのアイデンティティに関する知見を、デジタル時代に対応する遊びの美学理論の中に再統合し、他の芸術ジャンルやメディアにおける没入との共通点と相違点を明らかにしたうえで、デジタルゲームにおける没入の理論を構築する計画である。
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