研究課題/領域番号 |
20K00124
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
中川 克志 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (20464208)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | サウンド・アート / 音響文化論 / 聴覚文化論 / 現代音楽 / 現代アート / 台湾 / サウンド・スタディーズ |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトの目的は、A.台湾におけるサウンド・アートの概要を解明すること、B.日本におけるサウンド・アートに関する事例研究を蓄積すること、またその概要を記述すること、C.欧米におけるサウンド・アートに関する個別事例研究を行うこと、そして何より、D.これらの研究成果を総合して間アジア的パースペクティヴを見出すこと、である。しかし、 世界的なパンデミックの影響を受けて2020年度も2021年度も海外出張を行えなかったため、海外出張を必要とするあらゆる研究プロジェクトの例外ではなく、本プロジェクトも計画変更せざるをえなかった。ただし、そもそも全体計画をモジュール式に作成しており各段階で計画変更できたので、2021年度全般に渡る研究成果は満足の行くものとなった。つまり、海外出張の必要なA.台湾におけるサウンド・アート調査とC.欧米におけるサウンド・アートに関する事例研究は2022年度以降に行うことにして、2021年度は、前年度に引き続き、B.日本におけるサウンド・アートに関する事例研究とその概要の整理に注力し、さらには、D.欧米日と東アジアにおけるサウンド・アートの比較総合研究の準備を行った。結果的に、前年度の英語論文の成果を継承発展させて、日本のサウンド・アートの概要を記述する日本で最初の論文を発表し、日本で行われた2つの展覧会に関わること――「サウンド&アート」展の学術監修と論考執筆、「クリスチャン・マークレー」展の展覧会図録への寄稿――で、欧米におけるサウンド・アートが日本という文脈の中でどのように機能するかを密接に観察できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究プロジェクトは十分にモジュール化されているため、個々の研究プラグラムを遂行できなくともその他の研究プログラムは遂行できるように計画されてい る――ここでは複数の「プログラム」を組み合わせたものを「プロジェクト」と呼んでいる――。つまり、例えば台湾やNYに調査出張に行けなくとも、その他の研究プログラムは遂行できるよう計画している。それゆえ2021年度に遂行すべき研究プログラム数は十分に達成できたと判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
残念ながら台湾とNYでの現地調査やオンラインを経由した調査研究の見通しは立っていない。2020年度には台湾のリサーチャーと協働する国際共同研究プロジェクトを画策し、具体的には、台湾で開催される展覧会の状況を研究者仲間と共有することで遠隔から調査研究を遂行する、という方策を計画していた。しかし、2021年度の台湾ではかなり厳格なコロナ対策が行われたため、展覧会を開催することができなかった。2022年度のいまなお勤務校から海外出張は原則禁止されているし、夏に開催される国際学会はオンライン開催に変更されたり一年後に延期されたりするなど、2022年度も海外出張を行うことは困難が予想される。 そこで、2022年度も、日本におけるサウンド・アート研究の事例調査を重点的に進める。2022年度には日本においていくつかの展覧会の開催にもかかわる予定である。そのうえで、台湾への調査出張が可能な状況になり次第、現地調査を再開する。NY調査も2023年度に行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外出張旅費を使用しなかったため。 2023年度に集中的に、台湾とNYに調査出張を行う予定である。
|