本研究プロジェクトの目的は、A.台湾におけるサウンド・アートの概要を解明すること、B.日本におけるサウンド・アートに関する事例研究を蓄積すること、ま たその概要を記述すること、C.欧米におけるサウンド・アートに関する個別事例研究を行うこと、そして何より、D.これらの研究成果を総合して間アジア的パー スペクティヴを見出すこと、である。しかし、世界的なパンデミックの影響を受けて海外出張を行えなかったため、海外出張を必要とするあらゆる研究プロジェ クトの例外ではなく、本プロジェクトも計画変更せざるをえなかった。 ただし、そもそも全体計画をモジュール式に作成しており各段階で計画変更できるように計画を組んでいたので、 海外渡航可能な状況に応じて全体研究と個別研究の計画を組み替えて対応した。 * 2023年度には、これまでできなかった海外渡航が可能なったため、C.欧米におけるサウンド・アートに関する事例研究を進めることができた。これにより、日本の事例と欧米の事例とを比較考察する事例研究を進捗させることができた。また、国際学会で日本の音響彫刻の歴史研究と、英語圏でのSound Sculpture研究との比較を試みる発表を行なった。 また、本年度もB.日本におけるサウンド・アートに関する事例研究を進め、90年代神戸ジーベックにおける活動について実証的調査を取りまとた。90年代神戸ジーベックについては今後も継続調査を実施する予定である。 さらに、本年度は、私のサウンド・アート研究の現時点での集大成である単著を刊行することもできた。こちらは今後、D.欧米日と東アジアにおけるサウンド・アー トの比較総合研究の基盤となるはずである。
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