研究課題/領域番号 |
20K00125
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
伊東 多佳子 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (00300111)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 環境美学 / 環境芸術 / 気候変動 / 環境倫理学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は21世紀の気候変動の時代における環境美学の課題と意義を明らかにすることにある。急激に加速する人間の活動による環境の悪化の中で、環境美学はいかなる問題意識を持って変貌する自然環境について説得的に発言できるのか。本研究は、環境問題に直接立ち向かう環境芸術の様々なあり方を手掛かりに、具体例をあげながら、その動向と環境倫理学的な視点からの評価について論じるとともに、新たに気候変動に関わる環境美学の理論を構築する。そのために、1.環境芸術の実証研究 2.現代の自然環境の理解と環境正義に関する理論研究という二つの柱を軸に遂行する。本年度は、新型コロナウィルスの世界的な流行により海外渡航が制限され、1に関する海外現地調査が遂行不可能だった。そのため2.の理論研究を中心に研究を遂行した。現代の複雑な自然環境について環境倫理学や環境哲学による環境をめぐる最新の議論を検討することで、そこに語られる自然概念を精査し、環境問題の現状に照らして考察し、あわせて、現在 様々に行われている環境美学の試みの検討と分析を文献資料により行った。とはいえ、国内での移動の制限は緩和されたため、本年度は、日本の2名の環境芸術の作家、槙原泰介、片山初音による長野県の山荘での展覧会『都会化された荒野で』における作品解説と自然環境に関する論考および、11月26日ー27日に京都大学国際科学イノベーション棟シンポジウムホールで行われた日本学術会議の公開シンポジウム「芸術としての風土」において、「気候変動の時代における芸術と環境美学」と題した講演を行った。ここでの講演は、英語論文として発表する予定であり、すでに雑誌に投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
気候変動の時代の自然環境を論じることのできる環境美学の構築を目的とする本研究は、1.環境芸術の実証研究 2.現代の自然環境の理解と環境正義に関する理論研究による環境美学の構築 の二本の柱に沿って実施する計画となっている。 しかしながら、新型コロナウィルスの世界的な流行のために、本年度は昨年度同様、1.に関して、英米の環境芸術の実地野外調査を実施することができなかった。そのため、 研究は主に2.の理論研究を中心に行われた。この理論研究に関していえば、研究の成果を日本学術会議のシンポジウム「風土としての芸術」において「気候変動の時代における芸術と環境美学」と題して口頭発表を行い、今後の研究の方向もはっきりとしているので、おおむね順調に進展しているといえる。その一方で、海外渡航制限による実地野外調査の中止により、実証研究を計画通り進めることはできていない。したがって、総合的に判断すれば、研究の進行がやや遅れているといわざるをえない。しかし、新型コロナウィルスの状況が鎮静化し次第、実地野外調査を再開すべく、そのための準備を万全にしておいた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題に取り組む上で重要な位置を占める、英米の環境芸術の実地野外調査に関しては、新型コロナウィルスの影響が鎮静化し海外渡航が実施可能になり次第実施するべく、そのための準備を進めてきた。ようやくコロナ禍が沈静化し海外渡航が可能になった今年度(すでに延長申請を済ませている)には、当初計画通りの実地調査を行う。併せて、最新の文献による理論研究を中心に、現代の環境芸術の動向を把握しながら、現代の自然環境の理解と環境正義に関する視点を備えた環境美学の構築を目指す。新型コロナウィルスの世界的流行のため、海外渡航が事実上禁止されていたので、海外現地調査を実施することができず、そのために計上した旅費(航空券代、 宿泊費など)や関連費が支出されなかったが、これらやむを得ず繰り越された費用に関しては、今年度の海外渡航により使用する予定である。この現地野外調査を踏まえた成果をまとめ、論文として発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの世界的流行のため、海外渡航が事実上禁止されていたので、本研究の中心的な部分を占める海外現地調査を昨年度同様、実施することができなかった。そのために計上した旅費(航空券代、 宿泊費など)や関連費が支出されなかった。今年度はようやくコロナ禍が沈静化してきたこともあり、海外渡航が可能になったので、当初予定されていた実地調査を行い、助成金を使用する予定である。
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