フーゴー・リーマン(Hugo Riemann, 1849-1919)は、現代の機能和声理論の礎を築いたドイツの音楽理論家である。近年、欧米やアジア圏ではリーマンの和声理論や受容史に対する関心が高まっている。そこで本研究は、リーマンの和声理論における学際性と、今日に至る影響力の要因の一端を明らかにすることを目的とした。具体的には(1)リーマンの和声理論が英語・フランス語圏に受容される際に生じた変容、(2)リーマン生前の音楽理論と音響生理学・音響心理学との関連、(3)日本に和声学が導入される黎明期におけるリーマンの和声理論の位置づけ、という3点から受容史を編み直した。
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