研究課題/領域番号 |
20K00132
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研究機関 | 東京音楽大学 |
研究代表者 |
金城 厚 東京音楽大学, 付属民族音楽研究所, 教授 (50183273)
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研究分担者 |
高瀬 澄子 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (60304565)
鈴木 耕太 沖縄県立芸術大学, 芸術文化研究所, 准教授 (70786904)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 琉球芸能 / 御冠船 / 沖縄音楽 / 組踊 |
研究実績の概要 |
補助事業期間の第2年度である令和3年度は、前年度に引き続き、研究代表者・分担者の3名が研究会を毎月開催し、最も主要な研究素材である『冠船躍方日記』の解読を進めるほか、関連分野の研究者を招聘して多角的な検討を進めることを計画していた。しかしながら、新型コロナ感染症による社会生活の制限が依然として続いた結果、東京と沖縄間の往来がままならず、予定していたゲスト講師の招聘についても旅程の見通しが立たず、さらに研究会場として期待していた沖縄県立芸術大学の教室についても、授業以外の使用に制限がかけられるなど、研究会の進捗は計画に比べて大きく遅れている。 そうした中で、以下の研究活動を実施し、成果を発表した。①研究会については、3回開催した。また、最低限の打ち合わせをリモートで行ったことから、旅費を使用しないなど、研究費の執行額が予算を大幅に下回った。②『冠船躍方日記』の解読はある程度前進し、8割ほどを読み合わせた。その成果として、琉球国王の別荘で御冠船踊りの舞台のひとつとなった御茶屋御殿の機能を明らかにすることができた。③ゲスト講師の研究報告の協力は得られなかったが、琉球古典箏曲の演奏家の協力が得られたため、琉球古典箏曲の全曲録音を初めて実施することができた。これにより、琉球王国時代の箏曲の伝来と、日本の箏曲との関係を研究するための基礎資料が得られた。④さらに、本研究で得られた歴史的知見を広く公開するために『琉球の音楽を考える――歴史と理論と歌と三線』を制作した。制作に当たって図版等を用意するために研究費を支出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の状況下で、当初の計画に比べると大きく遅れているが、野外調査活動等、移動を要する活動以外の部分で、一定の視聴覚資料作成の蓄積や、成果発表ができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は事業実施期間の最終年度にあたり、とりまとめの必要がある。コロナによる制約は少なくなりつつあるので、鋭意、挽回をはかりたい。 ①概ね月1回のペースで研究会を開催する。②「冠船躍方日記」に加えて「議衛正日記」「爬龍船方日記」の解読を加える。③史料研究より得られた知見を反映させた実演の公開を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の流行により、14回程度予定していた東京~沖縄間の往来について自粛が求められ、4回しか出来なかったこと、緊急事態宣言等の発令について、先行き不透明な状況が続いたため、関連分野の講師の招聘の予定が立てられなかったことなどにより、旅費の執行が大きく減った。これに伴って、資料整理等による補助者の労務提供や、招聘講師に対する謝金等の執行が無くなったことにより、当年度においては未使用額が生じた。 使用計画としては、これらの未達成事項を次年度に持ち越しとする計画である。
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