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2021 年度 実施状況報告書

ヴァイマル期ドイツにおける総合舞台芸術の協働演出と身体表現のポピュラリティ

研究課題

研究課題/領域番号 20K00137
研究機関明治大学

研究代表者

大林 のり子  明治大学, 文学部, 専任准教授 (00335324)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードマックス・ラインハルト / 演出 / 協働製作 / ヴェニスの商人 / 非言語表現
研究実績の概要

2021年度(令和3年度)もコロナ禍の影響で海外への調査に出かける機会を得られず、予定していた各地のアーカイブでの資料調査を行うことができていない。
研究計画としてきた、演技と舞踊の中間点としての非言語表現に関する研究の進捗としては、前年度に論文にまとめた、マックス・ラインハルトの「マクベス」(1916年演出)の演出台本についての分析を度台として新たな課題に取り組んできた。いわば、演出家の演出の過程において、どのように協働という現場での他者とのコミュニケーションが、作品の質的な変化に繋がっているのかという点である。
今年度の分析対象には、1905年から1934年のラインハルトによる「ヴェニスの商人」の異なる演出の変化の様相を追った。先行研究では、Peter W. Marxが、Die drei Gesichter Shylocks, Zu Max Reinhardts Projekt eines Metropolitanen, Liberalen Theater vor dem Hintergrund seiner jüdischen Herkunft.(2005)として、1905年、1913年、1921年のシャイロックの表象が俳優の個性や演技スタイルにより大きく変化していることも指摘されている。その時期に加えて、申請者は、ラインハルトがさらに活動の場を追われてアメリカへ渡る直前の1934年のヴェニスにおける野外劇について、イタリア人俳優との舞台製作における協働についてあらためて調査分析を進め、劇団での演出から、海外での独立した演出家の仕事への変化によって生じた問題や新たな創造の過程を追った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度の調査分析については、取り扱う資料にイタリア語の論考なども含まれていること、また前年度に扱った演出台本のような対象とは異なり、イタリアの現地での協働者についての記録の新たな収集なども必要になってきたことから、推測的な部分も残ることから、充分な調査分析を完了することができておらず、論文や公開可能な研究成果を示すまでに至っていない。
また初年度で計画していたベルリンおよびウィーンのアーカイブにおける新たな資料調査を、今年度も進められていないことも、進捗が遅れている要因である。
しかしながら、すでに手元にある資料についての整理および分析を進めることで、当初の計画のとおりではないものの、研究課題としている「協働演出と身体表現のポピュラリティ」についての研究と考察は継続できている。

今後の研究の推進方策

新たな研究分析の視点を反映させながら、改めて読み直し分析を行う。そして、状況が許せば、当初の計画通り、新たに研究課題の遂行に必要となってきた資料について、ベルリン・ウィーン・カリフォルニアの関連するアーカイブ、および、ニューヨーク大学のラインハルトアーカイブにおいて研究調査を行えればと考えている。
また、今年度はまだ充分に進められていないサイレント映画の流通、あるいはアジア諸国の伝統芸能についての理解の高まりなど、芸術上の関心に加えて、グローバリズムやポピュリズムによって要請された表現可能性の探究についても、引き続き、ジャンル越境的な関連資料についての調査研究を進められればと考えている。その上で、20年代から30年代の演出家ラインハルトを取り巻く舞台製作の状況と、その時代の特性を明らかにすることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の状況により、当初予定していた海外調査に2年間出かけることが叶わず、そのため海外渡航費の執行ができてない。初年度は必要な機材や書籍の購入に代えて、研究を進めてきたか、2年目には、3月頃に渡航の可能性もでてくることを考えて経費を残していた。しかしながら、申請者の体調および渡航のために必要な隔離期間の設定などにより、結果として渡航は断念したため、その経費分が次年度使用額となっている。

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公開日: 2022-12-28  

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