本研究は、20世紀前半の総合舞台芸術が、従来の演劇史・演劇学においては「演出家の誕生」あるいは「劇場の近代化と新たな祝祭の誕生」、そして「全体主義」との関連において、議論されてきた。しかし、その統合という性質ゆえに、製作過程にみられる協働者の匿名性が高まり、協働する芸術家の個々の取り組みや個性を、作品全体への影響力を把握することが困難になる。たとえば協働者たちは「固有の芸術家」として見なされずに置かれ、かつ、その協働者たちの多くが、ナチス台頭により国外で映画やショービジネスに場を移している。その実体を追い、協働者の活動を詳細に調査・分析することで歴史を捉え直す試みである。
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