研究課題/領域番号 |
20K00143
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小田部 胤久 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80211142)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 美学の古典賦活 / 解釈学的循環 / 制作学的循環 |
研究実績の概要 |
2022年度の研究実績は、大きく次の4点にまとめられる。 1)美学関連の古典の翻訳・註釈作業に関して。20年以上かけて準備してきたシェリング『超越論的観念論の体系』をようやく公刊することができた(共編訳書)。さらに、カント『判断力批判』第一部訳註の作業をもほぼ終えることができた。後者の公刊に向けて、次年度も努力を続ける予定である。 2)近代日本における古典復興について。岡倉覚三の理論を、西洋との出会いをとおしての東アジアの古典復興の試みとして捉え返す作業を行った。その成果は、ブダペストで開催された身体美学をめぐる国際会議での基調講演で示した。 3)ドイツ観念論の美学理論の再構成。2022年度はとりわけ、シェリングの芸術理論の再解釈に集中し、そこから「解釈学的循環」の規定に存する「制作学的循環」の理念を取り出し、その理論化を行った。 4)2023年12月開催予定のシェリング関連の国際会議に関連して。「人新世の時代におけるシェリングの哲学」と題されたこの会議は、日本シェリング協会が国際シェリング協会との協力の下に開催するものであるが、その準備をとおして、「地質学的想像力」の重要性に思い到り、この点についてさまざまに考察を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、国際会議において3回の招待講演を含めて計4回の講演を行い、また、国際誌に1本の招待論文を含む2本の論文を講評した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度となるため、カント『判断力批判』第1部の訳註の公刊に向けて作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために海外出張の機会が減ったため。2023年度に国際会議を開催するため、その際に支出する。
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