本研究は、日中映画交流史を 踏まえつつ、とりわけ近年の中国での日本映画の上映や活発化している日本映画のリメイクを考察することをつうじて、かつて中国人が抱く煌びやかな先進国の日本のイメージがノスタルジーの対象と化しつつあるという事象を明らかにした。そして、日中両国のパワーバランスの変化や中国人のメンタリティーの変容を、社会学のアプローチで解明するとともに、中国の観客のノスタルジーを喚起するオリジナルな作品をつくる代わりに、日本映画をリメイクしなければならない中国の映画人の思惑を、製作に携わる映画人への取材をつうじて明らかにした。さらに、今後の中国の文化構築に対して日本文化が果たす影響を示唆した。
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