当該研究の最終年度である2023年度は、主に調査研究活動を実施しながら、その成果をもとに研究の発表に注力した。まず、戦後資料調査として、新聞や雑誌、書籍等の調査・収集を、国会図書館等で行った。また写真の展示等の視察も実施し、写真表現の多様性について見識を深めた。沖縄県伊江村での阿波根昌鴻資料調査は、コロナ禍において中断を余儀なくされていたが、当年度から再開し、資料調査活動を実施した。 こうした調査・研究活動により得られた成果をもとに、新聞(沖縄タイムス及び毎日新聞西部本社版)にその一部が紹介された(火野葦平写真資料)。また、日本オーラルヒストリー学会第21回大会にてシンポジウム「沖縄をめぐる占領体験をどう書くか/そう聞くか:実践的身振りに目をとめる」で、パネリストとして報告を行った(学会誌掲載予定)。 本科研費による研究は、2020年度~2023年度の4年間で、第1課題「アーカイブズ資源化のための整理」、第2課題「〈沖縄経験〉の検証」、第3課題「アートの場への還元」を設定した。第1課題としては、財団法人・わびあいの里(沖縄県伊江村)及び比嘉康雄アトリエ(沖縄県沖縄市)にて、それぞれ阿波根昌鴻資料、比嘉康雄写真資料の整理・保存作業を実施してきた。また、北九州文学館にて火野葦平資料や森崎和江資料の調査も行い、新発見の写真資料のデータをデジタル化することができた。 第2課題としては、収集してきた書籍、新聞雑誌等の資料を分析することで、学会や展覧会でのシンポジウム等で報告をすることができた。さらに第3課題としては、「沖縄の縮図 伊江島の記録と記憶-阿波根昌鴻写真展」(佐喜眞美術館、2020年)、「イザイホーの魂/久高のニガイ-比嘉康雄・上井幸子写真展」(那覇市民ギャラリー、2021年)、「島の人々-戦後伊江島・阿波根昌鴻写真展」(伊江村、2022年)などに企画参加した。
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