研究課題
基盤研究(C)
本研究では、1945年から1960年代前半までの日系アメリカ人美術家(在日、在米)の活動の調査を通して、彼らが戦後日本美術の国際化に果たした役割を検証することを目指した。その結果、内間安セイが在日アメリカ人と日本人美術家の橋渡し役、ジョージ蔦川が米国側から招聘された渡米日本人美術家の受け入れ先となり、イサム・ノグチが米国で開催される国際展に日本人美術家を参加させるための口添え役、渡米した日本人美術家や帰米した内間安セイのサポート役という重要な役割を果たし、日米美術交流に貢献したことが判明した。
日本美術史
在日・在米の日系アメリカ人美術家たちが戦後日本美術の復興と国際化に果たした役割については、具体的な研究がほとんど行われず、日本の戦後美術史にも記述されてこなかった。本研究では、日米の美術館や研究機関、作家遺族宅に所蔵されている資料の調査に基づき、彼らが関与した活動とその意義について明らかにした。それによって、日系アメリカ人が果たした役割が明確となり、これまで見落とされてきた戦後美術史の新たな側面が解明されることに繋がったと考える。