研究課題/領域番号 |
20K00154
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
岡田 万里子 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (60298198)
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研究分担者 |
阿部 さとみ 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (10811466)
稲田 奈緒美 桜美林大学, 芸術文化学群, 教授 (70367100)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 日本舞踊 / バレエ / 舞踊劇場 / 東京シティ・バレエ団 / 石田種生 / お夏清十郎 |
研究実績の概要 |
本研究は、従来特殊な作品として看過されてきた日本舞踊とバレエの融合作品を研究対象とし、日本舞踊がバレエを、バレエが日本舞踊を摂取して新しい舞踊を創ろうとしていた一時期の動向を重要な芸術運動として、再考・再評価しようとするものである。2022年度末に、東京シティ・バレエ団の第6回公演「邦人の作曲による日本創作バレエの夕べ」の「お夏清十郎」の出演者への聞き取り調査を実施し、本調査により、創作バレエの制作や準備段階における詳細な事実が明らかになったため、2023年度はその内容についての分析・検証を重点的に行った。これに伴い、第二次世界大戦後のバレエと日本舞踊が、相互に、また、地方の民俗芸能など他のジャンルから貪欲に学んでいた様子が明らかになったので、戦後の日本舞踊の動向、特に従来の日本舞踊になかった群舞をとりいれた作品についても調査を行った。直接的な関係は見出せないが、戦後の社会に実験的土壌が築かれていたことも想定できる。また、当時の日本舞踊を下支えしたともいえる、地方の花街の動向として、盛岡芸妓の調査も行った。その結果、花街芸妓の日本舞踊の習得レベルが非常に高く、戦前と同様に、花街において実験的な上演が行われていた様子も一部確認できた。さらに、これまでの研究成果を活かして、東京シティバレエ団演出振付家の石田種生の故郷における顕彰公演に協力し、プログラムに解説を寄稿したほか、2024年秋に開催される東京シティバレエ団『白鳥の湖』東京公演における資料展示への協力を依頼されている。 本研究は、新型コロナウィルスの感染拡大により、聞き取り調査を当初の予定通り行うことができず、計画通りの実施が不可能となった部分もあるが、2023年度に行った補足的調査研究により、研究対象の芸術運動を多角的に論じる準備が整ったということができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、西洋の舞踊をとりいれた日本舞踊の事例として「舞踊劇場」に注目し、「舞踊劇場」を調査対象として研究計画を策定したが、新型コロナウィルス感染拡大のため、関係者への聞き取り調査を延期してきた。調査対象者は高齢であったため、今後も実施が難しく、研究計画を見直した。そのため、研究計画が遅れ、延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、舞踊の東西融合について関係者への聞き取りから当事者の認識を明らかにして歴史を記述することを計画していたが、上述のとおり、日本舞踊関係者への聞き取り調査が困難であり、研究計画の見直しを余儀なくされ、予備調査からあらためて実施してきた。2023年度までの調査により、成果をまとめる見通しはたったので、延長された2024年度に研究を総括していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた聞き取り調査が新型コロナウィルスの感染拡大により行えず、研究計画が遅れたため、次年度使用額が生じた。また、国際学会での研究発表も予定してきたが、新型コロナウィルスの感染拡大により渡航が難しく見送ったケースもあり、また、円安が進み、渡航費が高騰したことから、日本国内で開催された国際学会において研究発表するなどしたため、当初計画通りの旅費を使用しなかった。しかし、研究計画の変更に伴い、調査旅費や研究を総括するにあたって、専門知識の提供謝金や印刷用の経費等の使用予定がある。
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