研究課題/領域番号 |
20K00157
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
津上 英輔 成城大学, 文芸学部, 教授 (80197657)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジローラモ・メーイ / Girollamo Mei |
研究実績の概要 |
ジローラモ・メーイ(Girolamo Mei, 1519-1594)『古代旋法論(De modis)』(1567-73,全4巻)の世界初の全訳および注釈を作成し,出版に備えることが,本研究課題全体の目的であった.そのうち2022年度の研究は,前年度中に完成した全4巻英訳第1稿の全面的見直しと注釈の作成に充てられた.具体的には,第1稿において4つの巻ごとに試行錯誤しながら採用していた翻訳方針を,第4巻までの経験を踏まえて統一すべく,第1巻と第2巻の第2稿を作成した.その際,第1講にはなかった章・節の区分および章題・小見出しを導入した.これにより,本書の構成が格段に見通しやすくなると思われる. 注釈としては,第1巻におけるプトレマイオス音階論および第2巻におけるアリストクセノス,プトレマイオス旋法論の解釈について,原理論とメーイの解釈を個別的に比較する注を多数加えることができた. 今後,第3,4巻の英訳第2稿および注釈が完成した段階で,再度Dr. Holford-Strevensの校閲を仰ぎ,出版に備えたいと考えている. 他方,2022年度の研究において,『古代旋法論』全体のラテン語文体について分析を行ない,英語論文"Mei’s Style of Latin Prose in On the Modes" (2023年1月,『成城文芸』第260号, pp. 115-134)にまとめることができた.これにより,ラテン語の古典的文体を研究成果の重要部分とさえ考える人文主義者メーイが,穏健な古典主義的文体を採っていることが明らかになった.これはAppendixとして,来たるべき英訳書の一部をなすはずである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『古代旋法論』全4巻の英訳第1稿を,古典ラテン文学の世界的権威であるDr. Holford-Strevensの校閲を経て完成させることができた.また,同書のラテン語文体について,英語論文を発表し,注釈を半ば以上作成することができた.
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今後の研究の推進方策 |
『古代旋法論』の注釈付き英訳書を,できればI Tatti Renaissance Libraryの1巻として刊行するべく,引き続き英訳第2稿を整えるとともに,注釈を完成させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による規制の詳細が不明であったため,予定していたイタリアとフランスでの図書館調査ができず,2023年度に繰り越すことになった.
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