研究課題/領域番号 |
20K00159
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
三浦 裕子 武蔵野大学, 文学部, 教授 (30646287)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 能・狂言 / 能楽 / 能 / 囃子 / 太鼓 / 家元制度 / 中世芸能 / 近代能楽 |
研究実績の概要 |
本研究は「近代における能楽の伝授と受容の諸相―免状に見る梅若家と素人弟子」(平成25~28年度 JSPS科学研究費助成事業・基盤研究(C))、「能楽囃子太鼓方観世流に見る伝授と受容の諸相」(平成28~31年度 JSPS科学研究費助成事業・基盤研究(C))に引き続き、初代梅若実資料研究会が研究母体となって推進するものである。資料研究会の構成員は、三浦裕子(研究代表者)と、加賀谷真子・高橋葉子・土谷桃子・中司由起子・深澤希望・別府真理子(研究協力者)の全7名である。 研究目的は次の4点である。A約1000点に及ぶ太鼓観世家の資料の全容解明と体系化とともに目録作成。B太鼓観世家の資料の解読を軸とする太鼓方観世流(太鼓観世家も含む)の近代の事績の解明。C近代における能楽の全体像を俯瞰的に把握。D太鼓観世家の資料の整理と保存の方法の追究。この4点を実現するために、年5回程度の研究集会(太鼓観世家での調査を含む)を催す計画を立てた。しかし、2020年度はコロナ禍のため、研究集会を開くことができなかった。資料の精査と精読をするには対面が必須であると判断したためである。そこで『改訂版 観世流太鼓手付』(観世元信著、2019年)に載る現行の演奏法を確認するなどした。例年、太鼓観世家は夏に虫干しを行っている。2020年度は8月8日・9日に行われた。3密を避ける意味から、代表研究者の三浦だけが参加し、同家の資料を調査した。そのデータをデジタル化するに当たって、パソコンを購入し作業の能率化を図った。また、資料保存のために封筒を中性紙のものに差し替えた。さらに、太鼓観世流能楽師との意見交換、および演奏の鑑賞を通じて、同流の演奏の特徴を確認する作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はコロナ禍のため、初代梅若実資料研究会を開催することができなかった。資料の精査と精読を行うためには対面での開催が必須であり、オンラインでは無理と判断したからである。 しかし、例年通り、太鼓観世家が催した虫干し(2020年度は8月8日・9日の2日)に研究代表者が参加し、同家の資料調査を進め、データベース化に向けた基礎的な研究を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は太鼓観世家が所蔵する約1000点に及ぶ資料の実態を把握することが基本にある。したがって同家での資料調査が必須となる。そのため、同家が例年、夏に催す虫干しに参加し、そこで行う調査が最も重要なものとなる。今後の研究では、太鼓観世家と綿密に協議したうえで、少人数・短時間での資料調査を行う機会を増やし、調査のスピード化を図ることとする。 また、初代梅若実資料研究会を開催する(太鼓観世家での調査を含めて5回)。対面で行うことを前提としているが、それが無理な場合はオンラインにふさわしい研究集会のテーマを設定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はコロナ禍のため、地方(福岡・名古屋・金沢など)に出向いて太鼓観世流に関する調査を行うことができなかった。また、地方在住の研究協力者が東京に来ることもできなかった。これらの理由から、旅費を使うことができなかった。 2021年度は感染状況を十分に鑑みつつ、地方への調査を行う。また、初代梅若実資料研究会を開催し地方在住の研究協力者にも参加してもらう。以上により、旅費を執行する計画を立てている。
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