研究課題
本研究は、3年間の共同研究を通じて、音楽、演劇、文学等、複数の分野からの学際的なアプローチによって、グランド・オペラのオペラ史における位置づけを確認しつつ、19世紀の文化史全体におけるその影響の大きさを解明した。まずは19世紀前半のフランスの演劇政策、検閲制度や著作権との関り、市民社会の到来による観客層の変化など、社会史的な観点からグランド・オペラの成立背景を考察した。その上で代表作品群を詳細に分析し、舞台美術や演出の重要性の高まり、音楽と視覚効果のモンタージュ的な関係等、時代の先駆けとなる様々な新機軸を明らかにした。作品分析と並行し、歌唱法やオーケストラのあり方、オペラ台本を担った作家スクリーブの作劇法の特徴なども分析した。また劇的な場面における「タブロー」のあり方など、フランスの演劇文化との関りも示した。さらにグランド・オペラにおけるバレエ場面も分析し、バレエ研究においては十分に研究されていない「オペラの中のバレエ」の内実について明らかにした。上記に加え、このオペラ文化がトランスナショナルな現象であったという視点も提示した。国外で生まれたオペラ作品の翻案上演の分析を通じ、作品の「フランス化」のプロセスについて考察した。また19世紀オペラを代表するイタリアのヴェルディ、ドイツのヴァーグナーの創作活動において、いかにグランド・オペラが重要であったのかを示した。さらにロシアのバレエやオペラ文化への影響、能や歌舞伎の近代化への影響、そして植民地オーストラリアにおけるグランド・オペラ上演についても明らかにした。2022年度までの研究成果は、書籍『パリ・オペラ座とグランド・オペラ』として、同年度末に森話社より出版した。さらに同書の合評会を開き、ホーム・ページを開設するなどして、研究成果を多くの人々と共有できる形にした。これらと共に研究会を継続し、研究をさらに進展させた。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (4件)
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