従来の彫刻史研究はモニュメントの生成・流通の構造を十分に説明するものではなかったが、本研究は新古典主義後期の彫刻作品の精査を通して、これを試みる点、学術的な意義大である。また日本近代のモニュメント受容を、G・モンテヴェルデ作品の調査をもってあとづける点も画期的である。近年、世界各地の多くのモニュメントが、その建立の歴史的経緯や、現今の政治的公正等の観点から批判・非難、さらには撤去の対象となっているが、そうした状況に対する彫刻史・美術史学からの応答、問題理解への礎としても、本研究の社会的意義は大きい。
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