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最終年度である今年度の一番の成果は、ドイツ・ルネサンス期の入浴について博士論文を書いたヤン・ダフィット・メンツエル氏、とアド・スタインマン氏の仲介により面談できたことである。筆者は彼の論文に触発されて「Where has Paris Gone? Beham's Fountain of Youth reconsidered](2016)を書いたが、メンツェル氏は博士論文における最後の「若返りの泉」扱った症で筆者の説を引用していた。彼の論文は夏頃に『Bad und Akt』として出版される予定である。彼の研究は、15,16世紀北方とくにドイツを中心にして、書籍の中の風呂という章を設けている点に特徴があるといえる。氏とは方向性が少し異なるものの、参考になる点が多々あり、何よりも同様の主題に関心を持っているという点で、実りある意見交換ができた。氏とはこれからもコンタクトを取っていく予定である。 本研究全体としては、やはり美術史における主題にもあたっておく必要があると考え、中世からバロック時代までのキリスト教主題の「スザンナと長老たち」「バトシェバの入浴」だけでなく、ギリシア・ローマ主題の「ディアナとアクタイオン」「ディアナとカリスト」についても図像の考察をおこなった。この古代の主題においては、オウィディウスの『変身物語』が中世を通じてどのように受容されたか、が重要な問題となることが理解された。
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